マネジメントと管理の違いは?マネージャーの役割は各フェーズで変化する
企業経営や組織運営にマネジメントを取り入れると、成果に違いが見られることが知られています。
そこで注目されている変化が、管理からマネジメントへの転換です。日本の企業では、以前から管理職という立場で構成された組織で企業運営がなされてきました。多くの企業で働き方改革の検討が始まることにより、欧米型の人事管理・運営管理の手法を使った企業経営に注目が集まってきています。
そこでこの記事では、管理とマネジメントの違いについて説明します。
マネジメントと管理の違い
まずは、マネジメントと管理の違いを解説していきましょう。
管理は、予定した活動や計画がうまく進行するように取り仕切ることが仕事です。業務をスムーズに進行することが目的であるため、成果を上げることは最優先ではありません。
一方でマネジメントとは、一定の成果を上げるために手立てを工夫してシステムや事業を成し遂げることが仕事です。管理との違いは、成果を上げることが最終目標という部分にあります。ここでは人事の場合を例にとって、管理とマネジメントではどのように違いがあるのか考えてみましょう。
人事管理では人事労務の管理が主体であるのに対し、人事マネジメントではプロジェクト成果を上げるための人事配置と人材を育成する人的資源管理が主体となります。
人事のマネジメントは、企業の経営戦略にかかわる大事な担当部署です。現在の企業経営では、従来の管理型からマネジメント型に移り変わることが増えています。企業は利益を上げなければ成り立たない組織であるため、当然この変化が必要です。
マネージャーが部下を管理する必要性
マネージャーの仕事は、部下を職場環境に慣れさせる・仕事の取り組み方などを教える・育てることです。マネージャーの管理の目的は人的資源の育成管理です。そのため部下が基本的な業務に対応できるようになるまで続ける必要があります。
ここでは、マネージャーが部下を管理する必要性を管理とマネジメントに分けて解説します。
マネージャーが部下を管理する理由
職場では管理職による出退勤管理や労務管理などの人事の管理が日常的に行われ、管理業務の結果が人事に大きく影響することがありました。しかし、デジタル化の進展・企業の情報公開・働き方改革などの変化に伴い、従来型の組織や役割の見直しを検討する企業が増えています。
従来は管理職の業務であった出退勤管理や労務管理などの業務がデジタル化されるなど、目的が不明確な業務や説明できない業務の見直しを求められることが増えました。
管理職の新しい役割はマネージャーです。管理職の役割を見直すことは、管理職の負担の軽減とともに本来の業務に集中できる効果をもたらしました。マネージャーは、部下を育てた結果が会社の利益につながることを目的に人材を育てます。そのため、一人ひとりの部下を管理しながら適性を見出して配置することが必要です。
管理はマネジメントの一部
マネージャーがする管理は、マネジメントと一体化した育成のための管理です。会社は事業をチームに分けて、それぞれにマネージャーを配置して事業を進めていきます。
マネージャーの仕事は、チーム内の業務遂行に必要な人事や運行を管理する仕事です。管理という業務を進めながら、次世代を担う人材育成をマネジメントの最終目的として仕事をしていきます。
マネージャーの仕事は人事管理で得た情報をもとに部下を適正な業務へ配置し、ワンステップ上の役割を担える人材に育てる仕事です。
そのため、並行して進む仕事の中から優先順位を決めるなど、判断力や状況分析力を発揮できるように部下をサポートしてチーム内の成長を促します。
管理職(マネージャー)の役割
近年は、管理職という仕事の目指すゴールや手法は大きく変わってきています。仕事・人員・物品を管理する仕事だったものが、運用状態・人の配置・予定・素材などの調整や配置を考えて準備する仕事になったことが特徴です。
以下では、管理職に求められるものを詳しく解説します。
管理職(マネージャー)に求められるもの
マネージャーの仕事は、チームのメンバーが仕事をやりやすいように働く現場をマネージメントすることです。
成果を上げて利益に結び付ける最適な環境を整えなければなりません。
そのためにマネージャーには、企業から求められる能力があります。企業にとって大きなプロジェクトに取り組むために求められる能力を以下で3つ取り上げました。
【マネージャーに求められる3つの能力】
■目標設定能力
自分たちにとって最適なレベルの目標を設定できる能力。この設定を間違えると、目標が高いと対応できず低いと意欲が下がります。
■コミュニケーション能力
部下の特性を理解し、最適なコミュニケーションができる能力。部下の特性を生かして、最適な仕事に配置します。
■人事評価能力
部下を人物評価する能力。評価基準に基づく適正な評価を丁寧に説明することで、意欲化を図ります。
マネージャーは、上記の3つの能力を人材育成のために活用することが重要な役割です。
管理職の役割は変わる
企業では、働き方改革の取り組みの中で社員の働き方を見直してきました。この改革に伴って組織の中核になる管理職の役割も変化が必要です。
ここでは、時代に合った組織管理やマネジメントについて考えてみます。
事業のフェーズ、組織目標で役割が変わる
多くの企業では時代の変化に伴って事業の多角化が進み、それぞれの事業や段階には最適なマネジメントが必要です。マネジメントの目的は利益を上げることです。マネージャーには、そのために果たさなければならない役割があります。
製品づくりのプロジェクトでは、原料部品調達・加工組立・調整試験・納品などの作業分散が必要です。マネージャーはそのすべてにかかわり、進行を管理します。
マネージャーは1つの部門に作業内容や手順を指示・指導するとともに、部門の仕事が進行するように部門内組織を確立する作業を繰り返すことが重要です。
部内組織を確立することで、運用の効率化・マネージャーとの連携・指示ができます。マネージャーは、各部門からの報告をもとに全体システムの運用状況・人員配置・作業進度をコントロールすることが可能です。
企業規模によっても役割が変わる
企業は企業規模の変化によって管理職が扱う業務や部門が増え続けます。そのため管理職は、新しい業務にかかわる新たな役割への対応が必要です。中小企業では社員の数も多くないため、労務管理から人材育成までの仕事を一人の管理職が兼務する場合も多く見られます。
大企業では、扱う仕事量や予算も変わってくるため多くの部門に分かれて仕事をしなければならず、部門間の橋渡しをする管理職が必要になりました。
さらに、経営者への事業の進行状況・期待される成果・今後必要とされる人員・予算について説明して成果に向けての事業推進をサポートすることも必要です。新たな事業展開や営業拡大などの企業の変化に対応する役割は今後も増加します。
企業としての成果を上げ、その過程で多くの人材を育てる管理職の仕事はやりがいのある仕事です。
まとめ
管理職の仕事は、過去の管理・監視というイメージからマネージャー・人材育成という新たな立場の職種に大きく変わってきました。
時代の変化とともに多様化する管理職の仕事ですが、管理職の基本である「事業を起こし社員を育てながら成果に結びつける」という役割は変わりません。
管理職は、現場のトップとして経営陣に一番近い立場にいるため、会社と仲間の橋渡しをしながら働けるやりがいのある大切な仕事だと言えます。
マネジメントと管理の違いや役割を理解した上で、適切な運営を目指しましょう。