業務課題の発見方法と業務可視化の必要性、課題のタイプも解説
普段の業務で、「もっとこうだったらいいのに」と感じることはないでしょうか。しかし、実際に行動に移せているという方は少ないかもしれません。仕事に課題はつきものですが、その課題をどのようにして発見し解決するかが非常に重要です。
そこでこの記事では、業務課題のタイプと発見方法、業務課題可視化の必要性について解説します。
業務課題のタイプ
業務課題は、主に3つのタイプに大きく分けられ、それぞれ発見の難易度や特徴が異なります。課題の特徴を理解して、早い段階で課題を抽出し正しく対処できるようになることが大切です。ここでは、それぞれの課題について具体的に解説します。
発生型の課題
「発生型」は、すでに発生して明確になっている課題です。例えば、「売上が前年よりも落ちた」「業務でトラブルが発生した」「顧客からクレームがあった」などといった課題が該当します。これらは課題としてわかりやすいため、解決策を考えやすいのが特徴です。しかし、根本的な問題が別で隠れていないかどうかは見極めが必要になります。
設定型の課題
「設定型」は、設定した目標を達成するまでに発生する課題です。例えば、「売上目標を達成するためにSNSを活用する必要がある」「残業時間を月平均10時間以下にまで減らすために無駄な作業を減らす必要がある」などといった課題が該当します。これらは現時点での明確なトラブルではないため、常に意識を向けておかないと放置されやすいので注意が必要です。
潜在型の課題
「潜在型」は、まだ表立ってはいないが将来的に発生する可能性のある課題です。例として、「テレワークできる環境を確立しないと、将来的に離職者が増えるリスクがある」といった課題が該当します。潜在的な課題であるため、現時点で認識するのが難しいという特徴があります。発見が遅れて課題が深刻化する前に、現在だけではなく将来のマイナス面を考慮することが重要です。
業務課題の発見の方法
日々の業務効率を改善するために、まずは業務課題を発見しましょう。考え方ややり方を少し変えるだけでも、見つけることが可能です。意識できていないことも多いので、普段から意識することを心がけましょう。
現状を把握する
まずは現在の状態を正確かつ客観的に掴むことが重要です。現状把握をしっかりしないと、この後のステップが間違った方向に進んでしまう可能性があります。
現時点では、課題が大きすぎてまず何に取り組んだらよいか曖昧なため、大きな問題を細かく分けて、何が一番の問題なのかを調べていくとよいでしょう。
経験したことのない問題に遭遇した場合には、どのような結果になるかわからないため、事実やデータに基づいた客観的なアプローチで適切に判断することが重要です。
課題を集める
業務課題を見つけるには、周りの社員の意見から課題を集めるのも有効です。方法としては、アンケート、ミーティングや面談、雑談など自然な流れで募ると気軽に回答できるでしょう。課題を集める際には、意見を言いやすいような形をとることが大事です。
特に、個別面談で課題発見の時間を作ることで、社員一人ひとりが自分自身の課題や職場の課題を意識する気持ちが高まり、組織の改善や社員の成長につなげられます。
また、雑談中は本音が出やすいため、ただの雑談ではなく、課題を引き出すことを意識してみるのもいいでしょう。
理想の状態から考える
まず理想の状態をイメージすることも、業務課題を見つける上で重要です。大がかりなものをイメージしなくても、半年後にどういう状態になっていたらいいのかをイメージするだけでも、日常的な課題を見つけるのに役立ちます。
また、理想の姿をイメージするために、現状の改善点を話し合うことも効果的です。課題を見出すためにも、現状のまま突き進んだ場合に理想の状態に到達できるのか、現状と理想にどのようなギャップがあるのかを一度話し合ってみましょう。
QCDの観点から考える
業務課題をQCDの観点から考えてみるのも効果的です。QCDとは、Quality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)の3つの頭文字を組み合わせたもので、生産性評価の指標になります。
品質、費用、納期の3つのどれかを向上させるには同時にどれかを犠牲にしなければなりませんが、最も優先すべきなのは品質であると認識しておきましょう。
これらの観点から顧客と社員にヒアリングを行うことで、課題が見えてきます。品質を担保しつつどのように生産性を向上させるかを考えることで、結果として業務改善につなげることが可能です。
業務課題発見時の対応
業務課題は発見して終わりではなく、どのようにして解決に導くかが重要です。せっかく課題を見出したのに、解決できずに終わってしまったら振り出しに戻ってしまうのは容易に想像できるでしょう。ここでは、業務課題発見後にとるべき対応を2つ解説します。
評論家にならない
課題を見つけるだけの「評論家タイプ」にならないようにしましょう。最も大事なのは課題を見つけることではなく、見つけた課題を解決することです。何か問題が生じた際に、「前から課題だと思っていた」と他人事のように話すと周囲を敵に回してしまいます。
もし課題だと思っていたのであれば、トラブルになる前に周囲に共有して課題解決に努めることが大切です。
第三者の意見を取り入れる
業務課題が見つかったら、第三者の意見を取り入れてみましょう。第三者はその業務に関わっていないため、客観的に物事を見ることができます。当事者は完璧に業務をしていると思っていても、第三者が見ると改善すべき点が存在していることは珍しくありません。
第三者の意見を取り入れることで、気づかなかった部分が見えてくるため、思わぬことが業務改善につながる可能性があるのです。
業務課題可視化の必要性
業務改善のためには、業務課題の可視化が必要不可欠です。業務にかかっているコストや社員が抱えている業務量を正確に把握できていないと、予算の設定や業務の割り振りを適切にできません。
そこで有効になるのが業務課題の可視化です。業務課題を可視化することで、社員一人ひとりが現状の問題を定量的に把握することができ、より無駄なく正確に問題解決に取り組むことができます。
また、社員一人ひとりが考えている課題がばらばらだと、組織が抱えている課題を完全に解決するのは難しいでしょう。業務課題を可視化することにより、全員の認識が統一され、組織全体で正しい目的に向かって進むことができます。
業務課題可視化の効果
業務課題を可視化することで、以下のような効果が期待できます。
・特定の社員しか把握できていなかった業務を全員が把握できるようになる
・一つひとつの業務にどのようなリスクがあるのかを社員全員で共有できるため、解決策を検討しやすくなる
・無駄な業務を最小限に抑えられるので、コストの削減や業務の効率化が期待できる
・各業務の内容を明確にすることで、システムを導入する際に適切な選択を行える
・顧客のニーズに見合った業務を把握して注力することで、顧客満足度アップが期待できる
・人事配置や人材育成をしやすくなり、業務をベストな状態で進められるようになる
業務課題を可視化すると、日頃の業務の効率が良くなるだけでなく社員と顧客の満足度を向上できます。
まとめ
この記事では、業務課題のタイプと発見方法、業務可視化の必要性について解説しました。普段の業務を改善するためには目に見える課題だけでなく、潜在的な課題にも目を向ける必要があります。課題を見つける上で、業務課題を可視化して社員一人ひとりが現状を定量的に把握しておくことが効果的です。
普段の業務課題を可視化するだけで、業務効率はもちろんですが、社員と顧客の満足度もアップできます。今後、業務改善に力を入れていきたい方は、この記事を参考に業務課題の可視化を検討してみてください。