業務の平準化とは?メリットや平準化に向けて必要な準備を解説
社内業務で、特定の社員しか処理できない業務や、社員によって受け持つ業務や負担が偏っている場合、本人にも周囲にもさまざまなデメリットが生じてしまいます。
そのような偏りをなくすために取り入れたいのが、業務平準化です。業務を平準化することで、リソースとタスクのバランスを取ることができます。
この記事では、業務平準化について、その基本的な概念、メリット、平準化ができていないのはどのような状態か、そして平準化を実現するための準備やポイントについてご紹介します。
業務平準化とは?
業務平準化とは、社員・組織の作業の負担や、業務の難易度やそれに応じた労力・ストレスなどを可能な限り均一にすることを指します。業務平準化を実現することによって、「自分は忙しいのに、あの人は暇そうにしている」といった不平不満を解消することが可能です。
また、チームや部署全体の残業時間の減少などの労働環境の改善や、社員に時間的な余裕ができることにより、心身の疲労回復やストレス解消につながる効果も期待できます。
業務平準化によるメリット
ここからは、業務平準化のメリットをご紹介します。業務を平準化することにより、対応する業務とリソースの偏りがなくなり、安定的に高い費用対効果を保つことが可能です。
また、業務量の均一化により、社員間の不公平感も少なくなります。具体的には、以下のようなメリットがあります。
・個人、チームにおいて対応できる業務量が増加する
・業務クオリティーが一定化する
・業務量が急に増えても品質や納期が影響を受けづらい
・業務のノウハウが蓄積される
・社員が安心して業務に取り組める
業務の平準化ができていない状態とは
業務の平準化ができていないと、現場にさまざまな悪影響がおよびます。ここからは、業務平準化ができていない状態について、具体的に4つご紹介します。
業務効率が悪い
特定の社員に業務が集中すると、その人に聞かないと進捗状況がわからず確認しないと業務が進められないといった状況に陥ってしまいます。担当者が確認や質問に時間を取られると、その間は作業がストップしてしまうことがデメリットです。
また、担当者以外の人が手持ち無沙汰になるなど、組織全体として業務効率が悪くなります。
属人化が発生している
属人化とは、「ある業務の進め方や状況などを特定の担当者しか把握していない状況」を指します。属人化が発生していると、業務がブラックボックス化し状況がわからなくなるほか、その担当者が休んだり異動した際などにほかの社員が対応できなくなることがデメリットです。
業務平準化ができていない場合には、担当業務に偏りがあり属人化が発生している可能性があります。
担当者によって作業量の違いがある
業務が標準化されていないと、特定の社員に業務が集中してしまいます。また、時間的な余裕があるのに業務が割り振られていない社員が出てくるなど、社員によって作業量のばらつきが生じてしまうことが特徴です。結果として社員の不満の蓄積やモチベーション低下につながってしまいます。
休暇が取りづらい
業務が集中している社員は、休暇も取りづらくなる可能性があります。有給休暇は社員に認められている権利ですが、「自分が休むことでクライアント対応ができる人がいなくなる」といった不安を抱え、休暇を取ることを控えてしまうためです。
さらに、定休日すら気持ちが休まらない状況になると、心身の疲労やストレスが溜まる原因にもなってしまいます。
業務平準化に向けた準備
特定の社員に集中している業務をできる限り均一化するのは、難しいことのように見えます。しかし、原因究明やマニュアル・ナレッジの共有、定期的な見直しなど、以下にご紹介する準備を一つひとつ確認しながら進めることで、業務平準化を実現できます。
業務の棚卸
業務平準化に向けて、まずは業務の棚卸から始めましょう。業務の棚卸を行うことで、それぞれの業務の問題や課題を明らかにすることが可能です。
また、無駄な作業や手順がないか、特定の社員や時期に集中していないかなどをチェックします。現状の業務フローや業務量など、イレギュラー対応も含め、社員が行っているタスクを細かくリストアップしましょう。
業務の可視化
業務の可視化を行うこともポイントです。業務のフローチャートや作業手順書を作成すると効果的でしょう。作業手順書を作ると、ステップごとにやるべきことが確認できるほか、誰がどの作業をしているのかといった全体像が把握しやすくなります。
また、業務を可視化することで、現場の社員だけでなく、チームのリーダーやほかの部署のメンバーにとっても業務がクリアになるでしょう。
業務マニュアルの作成
業務平準化には、業務マニュアルを作成することも大切です。マニュアルを作成し共有すれば、業務の属人化を防ぐことができます。そのため、担当者が休暇や異動・退職となった場合でも、ほかの人がスムーズにその業務にあたることも可能です。
なお、マニュアルを作成したあとも、実際に見ながら作業を行ったり、別の社員にもチェックしてもらったりしながら改善を続けていきましょう。
ナレッジの共有と蓄積
業務平準化に向けて、ナレッジの共有と蓄積も欠かせません。既存の社員がこれまでの経験で学んだナレッジやノウハウを収集し、ほかの社員にも伝えていきましょう。ナレッジが共有され、蓄積されていくことで、業務の進め方やポイントを理解している人を増やすことが可能です。
そのため、業務に対応できる人員が増え、作業量のばらつきが減るほか、生産性アップにつなげられるでしょう。
定期的な見直し
業務平準化ができた良い状態を継続的に保つためには、定期的な見直しが大切です。平準化は、一度行って終了、というものではありません。ある程度の時間が経ったら平準化の効果を検証し、新たな偏りが生じていないか、改善点はないかといったことを確認しましょう。
定期的な見直しを行うことで、業務平準化の効果をさらにアップさせることが期待できます。
平準化のポイント
業務平準化を実現するに当たっては、スモールスタートで始めることがポイントです。なぜなら、いきなり大きな規模で始めると現場の負担が増え、かえって失敗する可能性があるためです。
業務平準化は組織において大きな取り組みであり、急激な変化についていけない社員も出てくるでしょう。まずは小さなチームや部門に絞って実施し、現場の意見を聞き軌道修正をしながら徐々に進めていくことが大切です。
業務平準化は中・長期的な視点で行い、最終的には組織全体に広げていくイメージを持つと良いでしょう。
まとめ
この記事では、業務平準化について、そのメリットや平準化できていない状態の解説、平準化へ向けた準備やポイントも解説しました。
業務の平準化が行われることで、残業時間の減少といった労働環境が改善するだけでなく、社員一人ひとりのモチベーションが上がり、結果としてチームや組織全体の生産性アップにもつながります。
業務平準化を取り入れたいと考えている上司や管理職の方は、ぜひ本記事を読みながら平準化の方針を考えてみてください。