業務分担表の作成手順!表の必要性やメリット、作成ポイントを解説
日々の業務の中で次のような疑問はありませんか?
「チーム内がそれぞれどういう業務を担当しているか」
「今より業務の効率を高める方法はないか」
もしこのような疑問が浮かんだら、業務の見直しや分担に向けてチームを仕切り直す良い機会だと言えます。その際には、必要な業務を明確にし、チーム全員で取り組むための「業務分担表」を作成、運用してみてはいかがでしょうか。
今回は「業務分担表」の必要性やメリットをお伝えしながら、実際に作成する際の手順やポイントも詳しく解説します。
業務分担表の必要性
業務分担表とは、誰にどの業務を担当してもらうか、業務の分担が明確に示されている「見える化」された表です。チーム内の一人ひとりが、どのような業務をしているのかをひと目で確認できます。業務分担表を取り入れることで、チーム全員の細かい業務まで漏れなく管理ができて滞りなく業務完了させられるため、業務の効率化に役立つツールです。
また、チーム内でお互いの業務進捗状況を共有することで、一人ひとりにチーム全体の業務としての意識付けをするためにも必要なツールと言えます。
業務分担表のメリット
明確に各々の業務が割り振られている業務分担表を運用すれば、普段なら見落としてしまう、あらゆる問題点や曖昧な点を改善していけることがメリットです。
ここでは業務分担表を取り入れるメリットをご紹介します。
業務のプロセスが明確になる
業務分担表は一つひとつの業務を明確にしているため、業務完了までのプロセスがひと目で把握できます。チーム全員各々がすべきことが明確になるので、悩んだり曖昧な時間を作らず、業務完了に向かって集中でき効率良く進められるでしょう。
また、業務達成度も合わせて明確になるため、自身の仕事の成果が分かりやすく、更に前向きな仕事への意識付けにも有効です。
業務の抜け漏れを防止できる
業務分担表は、業務の抜け漏れを防止できるというメリットがあります。業務を洗い出した上で作った業務分担表があれば、その場で曖昧に割り振りがちな業務もあらかじめ担当を決められて漏れが発生しにくいためです。
また、チーム全員が業務分担表で全員の状況をチェックできるため、自然とお互いの業務をチェックし合えるような環境が作れる点も業務の抜け漏れ防止につながります。
既存の問題点が洗い出せる
業務分担表を作成する段階でチーム全員に業務内容の確認をしていくと、それまで見えなかった問題点が洗い出せます。業務が属人化していたり、特定の人に業務の偏りがあったり、見えていなかった問題点まで細かく洗い出せるためです。
知らなければボトルネックとなるような問題点を事前に洗い出せるのも、業務分担表の一つのメリットと言えます。
責任の所在が明確になり責任感の醸成が目指せる
業務分担表は業務に対しての担当者も記載されることから、必然と責任の所在も明確になるため、責任感の醸成が目指せます。業務分担表をチーム全体で管理し実行していく中で、自身の業務進捗によって他の業務担当者にどう影響するか一目瞭然です。
自身だけの業務ではないので遅れを出せない全体の業務であるという、チームとして動くための意識付けも責任感へつながります。
サポート体制を強化できる
業務分担表は、チーム内でのサポート体制を強化できるというメリットがあります。チーム全員の業務進捗状況が一目で把握できるため、遅延や問題で困っている、サポートを必要とするメンバーが必然と見えてくるためです。
また、チームとして業務を完了させるという同じ目標に向かってサポートし合うことは、チーム結束を強化する意味でも有効といえるでしょう。
個人の長所が活かせる
業務分担表は、適材適所に人員が配置できるため、個人の長所が活かせます。作成段階でメンバー全員にヒアリングする中で、それぞれのスキルや適性をあらためて確認できるためです。見合っていない業務に配置すれば、効率が悪く精神的な負担をかけさせ、モチベーションの低下にもつながります。
適切な人員を配置することで個人の長所を活かし、業務効率化を目指しましょう。
業務分担表の作成手順
ここからは、業務分担表の作成手順について解説します。この後解説する、5つのステップを丁寧に積み重ねていきましょう。業務分担表の精度を高めるためには、作成段階での一つひとつの作業がとても重要です。
ステップ1:業務の全体像の把握
まずは、業務の全体像を正確に把握することからスタートしましょう。そのためには、誰がどのような業務を担っているのかの洗い出しが必要です。
チーム全員に協力してもらい、以下のような項目を個別に記録していきます。
・現状の業務内容
・業務に要した時間
現状での全体像を把握することで、その後の業務分担表の作成に役立つ情報となるでしょう。
ステップ2:既存業務の把握
全体像を把握したところで、さらに掘り下げて、細かい既存業務を把握する作業に入りましょう。一つの業務は複数の細かい業務で成り立っているため、タスク化し、業務に要した時間も合わせてリストアップします。
リストアップする内容は以下の通りです。
・タスク化した業務内容
・要した時間
・連携部署はあったか
・雑務を含む、突発の業務はなかったか(どのような業務だったか細かく)
細かくリストアップすることで、把握しきれない雑務に偏りが無いかや、それまで見えてこなかった部分も可視化されます。
ステップ3:工数を割り出す
ステップ2でリストアップした既存の業務の工数から、目標の工数を割り出します。工数の算出方法は「業務に要する時間×人数」です。まずは既存の業務の工数を割り出して、実際の状況を把握します。感覚ではなく、工数として数字に起こすことで、無駄に時間や人員をかけ過ぎていないかが明確になるでしょう。そして適正な工数に近づけるように、業務の分担を決めることが必要です。
ステップ4:人員配置を決める
適正な工数で業務を効率良く進めるには、人員配置が鍵となります。適材適所に人員を割り振ることで、各々の得意分野を発揮してもらえるためです。得意分野を見つけるには、個別のヒアリングが有効な手段となります。またその際には、業務の幅があらかじめ決められている雇用形態についても、この時点で合わせて確認するのも重要です。
ヒアリングした情報をもとに、チーム全体で各々が効率良い業務を進められるような人員を配置しましょう。
ステップ5:PDCAを回す
最後に、PDCAを回して検証を繰り返しながら業務分担表を作成していきます。PDCAを回した結果、業務分担表とは異なる結果や見落としている部分が次々と出てくるでしょう。しかし、はじめから業務分担表の通りに100%を目指して進めようとしなくても問題ありません。
PDCAを回して改善が必要な点を見つけながら、アップデートしていき、少しずつ業務分担表を完成させることが大切です。
業務分担表の作成ポイント
ここからは、業務分担表を作成する上での重要なポイントを解説します。業務分担表はパズルのように、ただ単に業務を割り振るだけで良い訳ではありません。その業務を担当するのはチーム全員が「人間」だと忘れないことが大切です。
心理的安全性の確保
まずは、チーム全員の心理的安全性を確保することが最優先です。業務分担表を作成する場合、「これまでの自分が行った業務で、何か問題が生じたのでは無いか」と不安を感じるなど、疑心暗鬼になる人も出てくるでしょう。そのようなマイナスの感情を生み出さないために、丁寧な説明が不可欠です。
業務分担表を活かすには、その表を運用していくチーム全員が納得し、協力を得ることからはじめましょう。
雇用形態の考慮
チーム内に派遣社員や契約社員を含む場合は、その雇用形態も考慮した上で業務を分担する必要があります。なぜなら、どれほどの能力や適性があっても、雇用形態によって勤務時間や担える業務には限度があるためです。
チームメンバーの雇用形態についてあらかじめ把握し、何処までの業務が割り振れるのかを判断しましょう。
雑務を見落とさない
雑務を見落とさないことも大切です。雑務とは、電話・来客対応や書類の整理、掃除などを指します。担当を決めずにその場のメンバーで臨機応変に対応することが多いため、業務として意識しなければ見落としやすいです。
業務分担表を作成するのを機に状況を見直し、偏りのない分担をしましょう。分担の決め方も、不満が出ないように公平にすることが重要です。
業務はなるべく細かく落とし込む
業務分担表は、担当者以外にも把握出来るように業務内容を細かく落とし込んでおくことが必要です。細かくしておくことで、急な欠勤などで業務が滞った場合にも、業務分担表によって他の人がフォローしやすくなります。
特に、属人化されているような業務は見直し、業務分担表に細かく落とし込むことで、万が一でもスムーズに業務を進めるための貴重なツールとなるでしょう。
まとめ
業務分担表を取り入れることによる数々のメリットや、作成手順のポイントについて解説しました。業務分担表を最大限に活かすためには、作成段階での細かい業務の洗い出しはもちろん、これから表に基づいて業務をするチーム全員の協力が何よりも重要となります。
表を作成することが最終目標ではなく、それを運用し、時にはアップデートも必要です。現状のチーム状況で業務の効率化を目指している方は、ぜひ今回の記事をご参考に業務分担表を作成し運用してみてください。