業務効率化の進め方とは?具体的なアイデアや手順・注意点を解説

業務効率化の進め方とは?具体的なアイデアや手順・注意点を解説

仕事の現場では「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすことで、限られたリソースの中でも会社の生産性を向上できます。

しかし、正しい手順で業務の効率化を行わないと、かえって品質の低下やコストの増加など、マイナスの結果を招いてしまう可能性があるでしょう。そのため、業務効率化について正しく理解した上で施策を実行することが大切です。

そこでこの記事では、業務効率化の具体的なアイデアや施策を行う手順、注意点を中心にご紹介します。

 

業務効率化とは

業務効率化とは、既存の業務における「ムリ・ムダ・ムラ」をなくし、改善していく取り組みのことです。具体的な改善方法としては、無駄な会議や業務の削減やITツールの導入などが挙げられます。

業務プロセスが改善されると、従業員一人ひとりがより効率的に業務を遂行できるようになり、企業全体としても生産性が高まります。

 

業務効率化と生産性向上の違い

業務効率化と生産性向上は似たような意味だと捉えられがちですが、厳密には異なった意味で使われます。業務効率化とは、業務に隠れている「ムリ・ムダ・ムラ」を排除し、業務の合理化を目指すことです。

一方、生産性向上とは与えられたリソースの中で、クオリティとアウトプットを最大化させることを意味します。仕事の無駄を削減するなど、業務効率化を進めていくと結果的に生産性の向上につながるというケースもあります。

 

業務効率化のメリット、デメリット

業務効率化をすることで企業にとっても従業員にとってもプラスの効果が得られるでしょう。その一方で、業務効率化を行うことでデメリットが生じることもあります。

ここからは、業務効率化のメリット・デメリットについてそれぞれ説明します。

 

メリット

業務効率化のメリットとしては、主に以下の3つがあげられます。

・コスト削減
仕事の無駄の削減により、時間や経費、人的リソースを削減できます。例えば、ペーパーレス化を導入した場合、インク代や印刷にかかる手間暇を削減できるというメリットがあります。

・従業員の満足度
無駄な作業がなくなると従業員の負担が減り、残業時間が少なくなることもあります。仕事に対するモチベーションアップや定着率の向上も期待できるでしょう。

・生産性の向上
業務を効率化することで、時間や費用、リソースの削減ができます。こうして余裕ができたリソースを他の業務に当てることもできるため、企業全体として生産性を向上できます。

 

デメリット

業務効率化をすることで、デメリットが発生する場合もあります。例えば、ITツールなどの新しいシステムを導入する場合は、導入コストがかかってしまいます。また、情報漏洩などのセキュリティ面のリスクも考えられるため、社内のセキュリティ体制を整える必要があるでしょう。

さらに、業務効率化により仕事のやり方が変化する場合には、従業員の協力が必要不可欠です。新しい仕事の進め方に慣れるまで、かえって工数が増えてしまい従業員に負担がかかる可能性も考えられます。

 

業務効率化を進める手順

実際に業務を効率化させていくには、どのように進めて行けば良いのでしょうか?さまざまな手法がありますが、ここでは、業務を効率化するための6つの手順について解説します。

 

業務の見える化

業務効率化を進める際には、最初に業務の見える化を徹底する必要があります。業務を見える化することにより、自社の業務の全体像や問題点などを正しく把握することが可能です。

例えば、業務フロー図の作成は全体の流れを正しく理解するのに役立ちます。作業内容やかかる工程、タスクの他にも、その仕事に関わる人やモノ、時間、場所などの一連の流れが視覚的に捉えられるでしょう。

このように、業務の全体像を細部まで理解することで、どこを改善すれば良いのかを正しく判断できるようになります。

 

課題、改善ポイントの洗い出し

業務の見える化を行った後は、以下のような点に着目し、現状抱えている課題や改善ポイントを洗い出していきましょう。

・無駄な業務がないか
・コストがかかりすぎている部分はないか
・従業員の負担が大きすぎる業務はないか
・属人的な業務はないか
・ミスが多く発生している業務はどこか

業務を効率化するためには、上記のような課題に隠れている、根本的な原因や問題までしっかりと深堀りすることが大切です。

 

優先順位の決定

課題や改善ポイントを洗い出したら、どこから優先して効率化を進めていくかを決めていきましょう。現場の混乱を避け、一つひとつ着実に効率化を行うためにも、課題に優先順位をつけることが大切です。

優先順位を決める際には「工数」と「効率化することで得られるメリット」の2つを考慮すると良いでしょう。大規模な業務フローの改善には時間や工数がかかり、従業員の負担も大きいと言えます。

シンプルな業務をマニュアル化するなど、すぐに取り組みやすいことからはじめると効果が得られやすいです。

 

手法の検討

優先順位を決めたら、どのように効率化を行っていくかを考える際にはECRS(イクルス)が役立ちます。ECRSとは、Eliminate(排除)、Combine(結合と分離)、Rearrange(入替えと代替)、Simplify(簡素化)の頭文字をとったものです。

・Eliminate(排除):業務や作業における無駄をなくす
・Combine(結合と分離):似ている業務を1つにまとめる
・Rearrange(入替えと代替):順序、場所、担当者などを再構成する
・Simplify(簡素化):業務を見直し、簡易化する

これらの4つの指針を順番に検証していくことで、仕事の効率化を期待できます。

 

現場の調整

経営方針として業務効率化を決定したとしても、実際に改善に取り組むのは現場の従業員です。従業員の理解を得られないと、効率化が思うように進まなかったり、新しい業務フローが定着しなかったりすることも多数あります。

そのため、いきなり実施するのではなく、まずは現場の受け入れ体制を整えることが大切です。

 

効果検証

業務を効率化する施策を行った際は、実施だけではなく結果の検証まで行うことが大切です。なぜなら、新しいITツールの導入や効率化につながる施策を行っても、すぐに効果が得られるかどうかはわからないからです。

確実に効率化できているかどうか、最善の方法は他にないか、施策は定着しているかどうかなど、経過を検証しさらに改善する必要があります。効率的に業務を改善していくためにも、継続的な効果の検証が重要だといえるでしょう。

 

業務効率化の方法・アイデア

仕事の効率化を進める手段としては、無駄な業務の削減やツールの導入など、さまざま方法が挙げられます。ここでは、業務を効率化するための具体的な方法について詳しく解説していきましょう。

 

無駄な業務、会議をやめる

無駄な会議や業務をやめることは、業務の効率化につながります。例えば、定例だからという理由のみで行われている会議や、ほとんど活用されていない報告書の作成などが改善の対象に含まれます。

すべてを無くしてしまうことが難しい場合は、頻度を減らしたり、簡素化したりするなどして対応しましょう。

 

業務マニュアルを作成する

定例化できる業務やたびたび発生する業務のマニュアルを作成することは、大幅な業務効率アップにつながります。業務プロセスをマニュアル化することで、ノウハウや業務の進め方を従業員全員に共有でき、高い成果を誰でも品質のムラなく定量的に生み出せるようになるからです。

シンプルな業務はマニュアルを作り、全体としての作業効率を上げていきましょう。

 

業務フローチャートを作成する

業務を効率化するためにはフローチャートの作成も効果があります。業務フローチャートとは、業務全体のプロセスを視覚的にまとめたものです。

作成することで、誰がどんな業務を担当しているのかや1日の仕事の流れなど、一連の流れがひと目でわかるようになります。業務フローチャートの作成はプロセスの全体像を把握し、改善点を抽出する際に役立てることが可能です。

 

業務をまとめる

複数ある業務を1つにまとめることは、手間や時間を削減でき業務の効率化にもつながります。

例えば、毎週行われている定例会議を月に一度にまとめたり、似たような仕事を一つにまとめたりすることで業務にかかる時間を削減できます。

しかし、今まで別に作業していた業務をまとめることで不都合が起きてしまう場合もあるため注意が必要です。現場の意見に耳を傾けながら、必要に応じて、似たような業務をまとめましょう。

 

業務を分業化する

業務の効率化を進める方法として、業務の分業化が挙げられます。

例えば、従業員一人で対応していた複数の業務をタスクごとにわけ、他の社員にも割り振ることで業務効率やスピードアップが可能です。分業化により、従業員が何度も繰り返しその作業を行えるようになります。

業務が複雑化している場合は、タスクでわけることも検討してみましょう。

 

業務担当を変える

従業員一人ひとりによって、経験値や得意不得意は異なります。そのため、従業員の適性を考慮した上で業務担当を割り振った方が、作業効率は上がるでしょう。社員の育成が目的という場合を除き、社員の適性に応じた担当変更は、業務効率や生産性の向上につなげられます。

 

アウトソーシングを行う

アウトソーシングとは、社内の業務を社外の個人や会社に委託することです。

主に、直接的に利益や売上げを生み出さないとされるノンコア業務をアウトソースすることが一般的で、総務事務やコールセンター、経理などが挙げられます。アウトソーシングのメリットは、人件費や固定費の削減、従業員がコアとなる業務に集中できることです。

一方、外部機関に業務委託するため、個人情報や機密情報の漏洩リスクが高まります。そのため情報管理・セキュリティ対策が必要です。

 

RPA化する

RPA化とは定型的な業務の処理を自動でできるソフトウェアロボット技術のことです。自動化できる業務は以下のような例が挙げられます。

・データを他のシステムに移行する
・紙媒体で管理していたデータをデジタル化する
・交通費精算書の金額をチェックする
・情報を集めてシステム上で集計する
・請求書などの帳票を作成する

このように、人が行っている業務を自動化することで、ミスが低減します。従業員の負担も減り、他の業務に集中できるようになるために、RPAの導入は作業効率化に効果的です。

 

ツールを導入する

業務効率化には、ITツールの導入も有効です。ツールの導入により、費用や経費などのコスト削減やミスの防止、作業時間の短縮、コミュニケーションの円滑化などが期待できます。

例えば、リアルタイムでコミュニケーションを取れる「Slack」「Chatwork」「LINE WORKS」「Microsoft Teams」といったチャットツールを導入している企業が増えています。

組織内での情報共有がスムーズだと、チームで連携しやすく無駄な時間を削減でき、生産性の向上にもつながるでしょう。

 

業務効率化を行うときのポイント

業務効率化を進めていく際には、以下の5つのポイントをおさえておきましょう。

・効率化を行う項目の明確化
・現状の把握
・体制の整備
・複数の効率化を同時に行わない

ここでは、それぞれについて詳しく解説していきます。

 

効率化を行いたい項目を明確にする

まず、気をつけておきたい点は、効率化を行いたい項目を明確にすることです。業務の中に改善すべき点が複数存在する場合、すべてを一度に解決することはできません。やみくもに目の前の課題解決から取り組んだとしても、期待していた効果が得られない可能性もあるでしょう。

効率的に業務を改善するには、優先順位をつけて順番に施策を実施する必要があります。その次にどのような手順、方法で効率化すべきかを計画していきましょう。

 

現状をきちんと把握

効率化において、現状を正確に把握することはとても重要です。適切な施策を打ち出すには、担当者は誰なのか、作業にかかる時間や工数、コストなど、現在の状況を把握する必要があります。

間違った施策を行ってしまった場合には、効率性や生産性が低下してしまうリスクが考えられるでしょう。業務フローを効率化する際には、状況に合った計画を立てて実施する必要があります。

 

業務効率化に向けた体制の整備

業務効率化を行う際は、現場の体制を事前に整備しておくことが大切です。業務プロセスの効率化に取り組むのは、経営層ではなく現場の社員です。そのため、現場の状況の理解は欠かせません。

もし、現場にそぐわない改善策を行った場合、かえって逆効果となってしまう可能性もあります。業務フローを効率化する際には、現場のヒアリングを欠かさず行い、従業員たちの理解や協力を得た上で進めていくことが必要です。

 

すべてのアイディアを同時に実行しようとしない

仕事の効率化を成功させるためには、すべてのアイデアや施策を同時に実行してはいけません。なぜなら、思いついた改善案をすべて行おうとした場合、現場への負担がかなり増えてしまい、結果として作業効率が低下してしまうからです。

また、どの施策も十分な対応ができず中途半端に終わってしまうでしょう。効率化をうまく進めるためにも、会社全体としてどの部分から課題に取り組むべきなのかを洗い出し、一歩ずつ進めていくことが大切です。

 

業務効率化を行うときの注意点

業務効率化を行う際に注意しておきたいポイントは以下の通りです。

・手間やコストが増えていないか
・品質の低下が起きたりミスが増えていないか
・効果検証を行えているか
・導入したツールやシステムが使いやすいか

これらの点に気をつけて、効率化を進めていく必要があります。

 

手間やコストの増加に注意

仕事の効率化を行うと、逆に手間やコストがかかることも考えられます。既存の作業方法から新しい方法に移行するには、従業員へのフォローが欠かせません。時間をかけずに移行すると更なる問題が発生してしまい、生産性が落ちる可能性があります。

また、ITシステムなどを導入する場合は予算が必要です。導入後に費用の割に、思っていた効果が得られていないというケースも考えられます。そうならないためにも、費用対効果を計算した上で導入を検討すると良いでしょう。

 

品質の低下やミスの増加に注意

作業を効率化するプロセスの中で、品質の低下やミスの増加は避けられない問題です。慣れていた方法から仕組みが変わると、ミスをしやすくなってしまうからです。

また、作業に慣れるまでは、時間がかかってしまったり、従来よりクオリティが落ちてしまったりすることも考えられます。

ミスや仕事の質の低下を防ぐためにも、事前に導入研修を行い、マニュアルを完備しておくなどの対策が必要となるでしょう。

 

しっかりと効果検証を行う

施策を実行して終わりではなく、その後の効果を確かめることが重要です。計画通りの成果が現れるかどうかは、一定期間後に効果を測定しなければわかりません。作業プロセスの変化によって、どのような効果が得られたか、改善点はないか期間を決めて定期的なチェックを行いましょう。

目標に向かって改善を続けていくことで理想的な業務効率化を実現できます。

 

導入したツールやシステムが使いづらい

新しいツールやシステムを導入した際には、従業員から使用しづらいという声が上がるケースがあります。コストをかけて新しいツールを導入しても、現場の従業員に定着しなければ、業務の効率化にはつながりません。

ITなどのツールが苦手な人もいると理解しておく必要があるでしょう。現場の意見を聞いた上でのツールの導入や、定期的な研修の実施など行い、フォローしていくことが大切です。

 

まとめ

この記事では、業務の効率化を進める手順や方法、施策を行う際の注意点を解説しました。まずは現状を正確に把握し、現場と相談しながら、目標や計画を立てることが大切です。

また、ツールを導入したり、施策を実施する前には現場の従業員へのフォローも欠かせません。業務効率化を行った後も、効果の検証を忘れずに改善を続けていきましょう。

業務の効率化を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

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