人材育成における課題とは?社員の階層別の育成課題も解説!

人材育成における課題とは?社員の階層別の育成課題も解説!

会社の成長には人材育成が重要であると思い取り組んでいても、なかなか成果が出ないケースが多々あります。そのような会社は、誤った人材育成の方法を行っており、期待された効果が出ていないパターンがほとんどです。

そこで、今回はよくある人材育成での課題を分析、各ポジション別での人材育成における問題点や解決法も解説します。

企業にとって理想となる人材を育成する際に起きる課題とは?

人材育成は様々な企業が目標を掲げ取り組んでいますが、様々な課題に直面し、効果的な育成になっていないのが現状です。そこで、まずは人材育成でよく出る課題について解説していきます。

課題1. 人材育成に取り組む時間がない

人材育成を目標にしていても、実際に育成を行う管理職や上司が多忙で、育成に取り組む時間がないという課題が多くあります。特に近年ではプレイングマネージャーという形で、上司も自らの仕事をしながら、部下に指示することが一般化しています。

これに追加して、人材育成の業務も上司が行うとなれば、確実に業務量が過剰となり、まともに育成やコーチングを行う時間も取れないでしょう。そうなると中途半端な育成となり、部下の成長も期待通りにはいきません。

【解決法】
・組織全体として人材育成に取り組めるよう、業務分担を見直していく。
・特に育成を行う管理職や上司の業務を減らし、育成に掛ける時間的を確保する。
・すべてのスキルや知識を教えると時間が掛かるので、優先度の高いものに絞り伝えていく。
・eラーニングや社内マニュアルを充実させ取り組んでもらう。

課題2. 人材育成に明確な目的がない

人材育成で研修などを行っても、明確な目的がないため効果がなく、期待通りの成果を得られていないケースも数多くあります。このように育成の施策が形骸化すると、企業にとって必要な自発的に動ける人材の育成にはなりません。

特に、明確なキャリア目標や進むべき道が示されていない場合、流されるままにしか働けず、大きな強みとなるキャリアは得られないでしょう。

【解決法】
・人材育成の目標や明確なキャリアプランを決めて、やるべきことを考えていく。
・具体的なポジションや役職、部署などのイメージがあると、意欲的に取り組みやすい。
・「社員の目標や成長」と「企業に必要な人材」が繋がるようにし、企業と社員の考え方を同じ方向 に向ける
・「いつまでに」「どのスキルを」「どの程度の習熟度まで」といった具体性のある目標を決め、人事評価なども設ける

課題3. 研修内容の充実度

現場での業務に必要なスキルと、研修やセミナーで受ける内容とにズレがあり、期待された効果が出ていないケースも多くあります。せっかく人材育成を掲げ研修プログラムを組んだとしても、実際に現場で必要とされる知識や内容でなければ、研修内容としては不十分です。

これを防ぐためには普段から各現場や各社員の課題などを把握し、必要とされる研修プログラムを考えておく必要があります。

【解決法】
・現場や社員ごとの課題や解決方法を把握し、必要な研修及びセミナーを準備する。
・社内での要望なども確認し、より現場の課題解決に繋がる研修を組む。
・マネジメントのスキルは学ぶ機会が少ないため、人材育成を行う管理職や上司も対象となるような研修も用意する。

課題4. 人材育成を受ける側の自発性の低さ

人材育成では、部下の自発性やモチベーションが原因で効果が出ないこともあります。これは、努力が認められない会社の評価制度や、見本となるべき先輩や上司などの自発性の低さが原因のケースもありますので注意しましょう。

このような課題を解決するには、下記の様な解決法の取り組みを行い、会社全体としてサポートしていく必要があります。

【解決法】
・先輩社員や上司の働き方は部下の未来像となる。そのため、先輩社員や上司の仕事ぶりで部下がモチベーションを低下させていないか見直す。
・成果が出なくても、努力した部分を評価するような人事評価制度などを設ける。

課題5. 人材育成が評価されない

人材育成で効果を上げるためには、人材育成での成果も正当に評価する必要があります。せっかく人材育成を行っても、行った側や受けた側の評価に反映されない状態だと、意味がなくなってしまいます。

特に、管理職や上司の人材育成に関しては、優秀な部下を育てた成果が明確に評価されなければ、「自分で成果を出す方が良い」と思われても仕方ありません。

【解決法】
・管理職や上司、人事担当者の評価に「人材育成」も加えて評価をする。
・人材育成は時間が掛かるものと割り切り、中長期的な戦略や評価制度を設ける。
・社内で人材育成への取り組みを明確に評価する基準を決める。

課題6. 人材育成の重要性の認識が低い

実際に指導・育成を行う上司や管理職の人材育成への意欲の低さも、育成による効果が出ていない原因として多くあります。また、直接指導を行う上司や管理職だけでなく、組織全体として人材育成を重視する意識でなければ協力も得られず、期待される成果は出ないでしょう。

認識が低い理由は前述したように様々な理由がありますので、原因を探って解決策を取るのが効果的です。

【解決法】
・上司や管理職の育成意識が低い場合には、前述のような課題1.「人材育成に取り組む時間がない」状態や課題5.「人材育成が評価されない」状態、もしくは会社全体のサポートがない状態が原因でないかチェックする。
・組織全体として人材育成をサポートするようにして、上司や管理職の負担を減らす。

課題7. 人材育成の知識が足りない

人材育成を行う上司や管理職のスキル不足が影響して、期待された人材育成の効果が出ていない事例も多いです。適当な研修を行えば人材育成になるというものではありませんので、人材育成やマネジメントに関する適切な知識を習得するのが大切です。

そして何より、上司や管理職には部下と上手く信頼関係を築くための、コーチングやコミュニケーションのスキルも必須なのです。

【解決法】
・上司や管理職もマネジメントやコーチングの知識やノウハウを習得する。
・日頃より部下の性格や思考などを把握し、それぞれの部下の育成においてどんな指導やコーチングが効果的か考え面談を行う。

新入社員の育成における課題とは?

新入社員の人材育成において起きやすい課題には、下記の様な事例があります。

1. ビジネスマナーができていない

社会人一年目である新入社員は、ビジネスマナーがまだできていません。本人は間違っていると感じていないマナーや態度もありますので、まずは先輩や上司が繰り返しチェックし教えることが大事です。

2. 積極性がなく自発的に行動ができない

新入社員は積極的な行動や自発的に動くことができない傾向があります。これは主に下記の様な原因があることが考えられます。

・余計な事をして迷惑を掛けないよう、上司や先輩の支持を待っている
・主体的に動きたくてもどのように行動すれば良いか分からない
・やることがないか聞くのをためらっている

3. 人間関係で悩みやすくストレスを抱えやすい

入社直後は人間関係がまだできていない状態ですので、緊張や不安も多く新入社員はストレスを抱えやすいです。2.や3.の様なケースは、業務に関しての知識や、上司・先輩社員とのコミュニケーションが足りていないことで発生します。

充分な研修や歓談の機会を設けて、新入社員が働きやすい環境にしましょう。

若手社員の育成における課題とは?

若手社員の人材育成では、下記の様な課題が多くあります。

1. 上司の業務が多忙で、十分な育成や指導ができない

前述したように、若手社員の上司が十分な育成の時間を取れない課題があります。この点を解消する方法としては、上司の負担を減らす取り組みを行いましょう。

もしくは、eラーニングなどを活用する方法も良いでしょう。

2. 作業や仕事の必要性についての理解が浅い

上司からの指示で作業や仕事をこなすだけでは、「なぜこの仕事を自分がやるのか」「なぜこのやり方なのか」といった疑問を解決できません。そうなると仕事へのモチベーションや自主性が育たない原因になります。

そのため、仕事に関して手順や方法の答えを教えるだけでなく、仕事の背景や目的についても詳しく説明することが重要です。

3. 離職が多く人材育成のコストが掛かりすぎている

若手社員は離職率も高く、3年以内に退職するケースが多いため、せっかく人材育成にコストや時間を掛けても無駄になることがあります。

こうした課題は、人材定着が上手くいっていない証拠ですので、労働条件や求人内容、社内の人間関係の見直しなどを行いましょう。

中堅社員の育成における課題とは?

中堅社員の人材育成では、下記の様な課題が多くあります。

1. 新入社員や次世代の経営人材に比べ育成の優先度が低い

新しく入社した新入社員や、将来の会社の経営を担う人材と比較すると、育成の重要度が低いと思われ、十分な育成が行われていない傾向があります。

そのため、組織の中核としての役割を認識させる施策や、リーダーシップ開発、後輩の育成指導の方法や、課題解決力向上などの研修も行うと良いでしょう。

2. モチベーションの低下

ある程度仕事の経験を積んだ中堅社員は、業務へのマンネリ感や会社の先行き不安、自分の役割についての悩みを抱え、モチベーションが下がることがあります。

そのため、明確なキャリアビジョンを持ってもらえるようケアすることが大事です。

3. 業務効率化の影響で視野が狭くなっている

業務のアウトソーシングや専門化による仕事の割り振り・業務効率化の影響で、プロジェクト全体を見る視野が狭くなっているケースがあります。

また、他部署の人間と協力し仕事を行う力も弱まってきているため、コミュニケーション能力の向上を促進する研修も行うと良いでしょう。

管理職の育成における課題とは?

管理職の人材育成での課題は、下記の様なものが挙げられます。

1. 業務が多忙でマネジメントに注力できない

管理職は業務の負担が大きく多忙であるため、充分なマネジメントスキルやコーチング能力などを身につける余裕がないという課題があります。こうした場合には業務分担の見直しなどを行いましょう。

2. 課題設定能力や問題解決力が不足

管理職はチームや部下の課題設定し、問題解決の方法を検討する必要があります。しかし、管理職の経験がなかったり浅かったりすると、こうした課題設定や問題解決の方法も思い浮かばず、期待された効果を出せません。

そのため、マネジメントスキルや管理職能力を高める研修を行うと良いでしょう。

3. 調整スキルやセルフマネジメント能力の不足

管理職は他部署の人間や経営層とも連携する重要なポジションですが、調整力が足りないため上手く連携できていないケースもあります。また、自らの目標や業務管理ができていない管理職もいます。

管理職はこうした調整スキルやセルフマネジメントを伸ばす対策も行いましょう。

人材育成を成功させる基本的な方法

最後に人材育成を成功させる上で覚えておきたい、基本的な方法についてもご紹介していきます。具体的には下記の様な方法がありますので、ぜひ実践してみて下さい。

方法1. 現場の把握

まず、人材育成において大切なポイントとなるのが、部下やメンバーに現場で必要なスキルや能力を身につけられるかという点になります。この点と実際に研修で行う内容にズレがあると、育成の効果は上がりません。

そのために、まずは現場でどのような課題や問題があり、それを解決するためには、どういったスキルや能力を持った人材が必要なのかを確認するのです。重要なのは、現場で働く人の声を聞くことです。

現場で起きている問題を一番よく知っているのは、そこで働く社員やメンバーですので、しっかりヒアリングを行った上で、必要な研修や指導を考えましょう。

方法2. 理想像を描く

2つめに大事なポイントとなるのが、目指すべき企業像やイメージを描くことです。将来的になりたい姿やビジョンを描くことで、理想と現実のギャップを把握でき、そのギャップを解消するために必要な対策も打ち出せます。

こうして理想像からブレイクダウンして人材育成を行うことで、迷うことや誤った方向性に進むことも減りますので、人材育成も効率化が図れます。

なお、目標達成の計画に関しては、具体的な数字や期間を用いて設定しましょう。そして何より、人材育成の担当者に任せきりにすることなく、経営層も加わり企業にとって理想的な人物像を考えていくことが大切です。

方法3. 評価基準の設定

人材育成はただ行うだけでは、効果を見極められませんので、評価基準を定めて成果が出ているか確認することが大切です。重要なのは人材育成の対象となる人員が、スキルを身につけられたか、チームや部署としての成果が見られるかを確認することです。

ただし、人材育成はすぐに目に見える形で効果が表れるとは限りません。そのため、定性的な項目と定量的な項目に分けて、評価基準を作ると良いでしょう。

そして何より、人材育成を行う上司や管理職も評価されるような、明確な評価基準も作ってモチベーションを高めていくのが肝要です。

方法4. 社内協力体制の構築

最後に重要なポイントとして、人材育成を行うためには、上司や管理職だけでなく社内全体で人材育成をサポートし、協力していくことが挙げられます。この時大切なのが、目指すべき理想像と現実のギャップを埋めるような、研修や社内制度の仕組みを構築していくことになります。

その上で、人材育成の担当者を中心にして、育成の方法について考えます。費用対効果や現場への負担がどのくらいあるのかも重要ですので、スキルや能力を身につけるのに必要なコストも考え、最適な方法を決めましょう。

人材育成は社内全体で足並みをそろえて取り組むことが最重要!

以上、人材育成の課題や各ポジション別での育成課題、育成を成功させるための方法についてもご紹介しました。覚えておきたいポイントはいくつもありましたが、成功に重要なのは「社内全体」で足並みをそろえて取り組むということです。

人材育成担当者や管理職・上司に任せきりにするのではなく、経営層や他部署の人間も含めた組織全体で、理想的な人材の育成を目指しましょう!

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