人材育成における目標設定方法と注意点!重要性と具体例の解説も

人材育成における目標設定方法と注意点!重要性と具体例の解説も

人材育成に取り組むことを決めて、いざ始めようと思うときに迷うのが、どのような目標を設定すれば良いかという点です。しかし、人材育成に関してのノウハウが少ないと、誤った目標設定を行ってしまい、期待された効果が得られない可能性もあります。

そこで、この記事では人材育成において大切な目標設定の重要性、そして手順や設定の仕方、注意点も含めて解説していきます!

人材育成における目標設定の重要性

まずは人材育成における目標を設定することが、なぜ重要なのかを説明します。重要性を理解することで、より真剣に取り組むきっかけになります。

重要性1. 社員の成長の可視化

目標設定が重要な理由の一つとして、社員の成長を可視化できるという点があります。人材育成については、すぐに目に見えて社員に効果が表れることはありません。そのため、目標設定を行うことで、その達成度合いから社員の成長を可視化し、人材育成の成果を測るようにするのです。

このようにすれば、社員の成長度合いから、現在の人材育成の制度に課題がないか、判断するための情報にもなり、正しい人材育成を進めることができます。

重要性2. 社員のモチベーションの向上

目標設定は社員のモチベーションを向上させる効果も期待できるため重要です。逆に目標設定がないと、どのような方向性で育成を行えば良いか分からないため、人材育成を行っても期待された効果が出ないでしょう。

ただし、注意点として上司や管理職が押し付ける形で決めた目標ではいけません。部下自身が望んで習得したいスキルや能力、キャリアを目標にするのが大切です。自らが設定した目標を達成したいと思わせるのが、意欲向上に繋がるためです。

コツは最終的な目標だけでなく、その過程でも小さな目標を複数定めることです。そうすれば、小さな目標をいくつも達成することでモチベーション向上も期待でき、最終的に大きな目標の達成にも近づいていきます。

重要性3. 人材育成に対する評価

目標を設定することは、人材育成に対する評価を行う上でも重要です。人材育成の成果は見た目には分かりにくいデメリットがありますが、目標設定を行えば、達成度合いで成果が出たかを定量的に確認できます。

人材育成の目標達成は、管理職や上司の育成が上手くいっている証拠です。正しく評価を行ってあげれば、育成する側のモチベーション向上も期待できます。

逆に目標達成に対して評価する制度がないと、育成を行う管理職や上司からすれば、「自分で成果を出した方が良い」と思われ、育成が進みませんので注意しましょう。

もし、仮に目標達成ができなければ、目標設定に無理がある可能性もあります。その際は、管理職や上司のマネジメント方法も含めて見直すと良いでしょう。

人材育成における目標設定の手順

では、実際に人材育成の目標を決める際の手順も確認しましょう。必要な手順を踏むことで人材育成も成功へと近づきます。

手順1. 全社的な目標の設定や確認

まずは社員個人の目標を定める前に、会社としての目標や、チーム・部署単位での目標を確認する必要があります。社員個人が立てた目標と、会社やチームの目標にまったく関連性がないと、方向性が異なり生産効率も悪くなります。

重要なのは組織全体で見た時の上位目標から、チーム単位や部署単位に目標を振り分け、そこからさらに個人の数字や項目に目標を振り分けるのがポイントです。

ただし、こうした目標設定には、会社・チーム・社員個人レベルでの課題や改善点を把握する必要があるため、まずは現状分析から始めましょう。

手順2. 具体的な達成基準を決める

次の手順として、具体的な達成基準を決めることがあります。曖昧な達成基準だと、育成の成果を把握しにくいだけでなく、育成を受ける社員自身にも、目標への迷いや不安が出てきてしまいます。

設定には様々な方法がありますが、基本的には組織全体での目標と個人ごとの目標を前提に、社員それぞれの数値目標を決めるのが一般的です。

また、設定に関しては基礎的な設定のフレームワークである「ベーシック法」を基準に、それぞれの目標を設定してみると良いでしょう。

【ベーシック法】
向上・強化:現状よりレベルアップを目指す目標
改善・解消:現状の問題や課題を解決するための目標
維持・継続:現状維持し継続する目標
創出・開発:現状にないことを新しく創造する目標

手順3. 期限の設定

目標の設定には期限の設定を行うことも重要な要素となります。具体的な達成基準で「何を」「どのくらい」達成するか設定した後には、「いつまでに」達成するのかを決めておきましょう。

期限を設定することで、逆算して目標達成に必要な計画を立てることができます。

手順4. 達成までの計画

設定した目標を達成するための計画を立てていきます。目標項目の達成にはどのような行動が日々必要になるのか、具体的なアクションの内容や利用ツール、関係者、手段などを記載しましょう。

できればシートなどで常に確認し、日頃から意識できるようにすると良いでしょう。また、具体的な計画表は、進捗や改善点も気づきやすいためおすすめです。

人材育成における目標設定の注意点

続いて人材育成での目標設定における注意点を説明します。主に下記の様な注意点がありますので、人材育成の際には意識しておきましょう。

目標設定上の注意点:役割を明確にする

人材育成を行う際には役割を明確にすることが重要です。誰が何を指導するかという役割が曖昧なまま、人材育成を開始すると、社内での連携体制も悪くなり、人材育成の効率も良くありません。

また、必要な研修や指導の内容も一貫性がなくなりますので、余計な研修を行ってしまう可能性もあり、その分無駄なコストが発生します。そのため、役割を明確にして責任の範囲を決めることが重要です。そうすれば育成する側も分かりやすいため、スムーズに指導ができます。

普段の業務指示は上司が、ロールプレイングの実施は人事部が、マネジメントは外部講師に頼むなど、明確にして混乱のないようにしましょう。

人材育成における目標設定の具体例

それでは、最後に人材育成における目標設定の具体例を職種ごとに分けてご紹介します。

1. 営業職の目標設定の例

営業職の目標設定は、チーム単位での新規顧客数、売上額などの目標設定から逆算し、個人での目標数値を決めると良いでしょう。売上などの数字と関わりが多い営業職は、目標設定も定量的な基準を設けると良いです。

売上額や受注額、契約件数や訪問件数などの数字をベースに、チームでの目標と個人のキャリアプランにズレがないよう設定するのがコツです。

<具体例>
・1日あたり30件の個人宅訪問営業、50件の電話営業で新規開拓を行う。
・チーム単位で前月比10%以上の契約額増加、500万円以上の受注を目指す。
・営業での受注件数を高めるため、週2回上司と同行訪問し営業を行う。

2. マーケティング職の目標設定の例

マーケティング職の目標設定では、WebサイトのPV数やトラフィック数、コンバージョン率など、広告媒体での成果が分かる数字を目標にすると良いでしょう。

注意点としてはマーケティング職の場合、設定項目が多岐に渡るため、個人のキャリアデザインと結びつけにくいので気を付けましょう。

また、目標に達しなかった場合の改善策を考えることも重要です。

<具体例>
・月間で新着記事を30本作成し、オウンドメディアで月5件の顧客獲得を目指す。
・Web広告でキャンペーンを3つ掲載し、ホームページへの流入を月50万PVに伸ばす。
・自社SNSを活用しエンゲージメント率を前月比120%まで高める。

3. 人事職の目標設定の例

優秀な人材を採用し、企業にとって理想的な社員を育成する役割の人事職は、すぐに結果が出る短期的な目標を設定しにくい部分があります。

そのため、長期的な目標とも併せて設定を考えておくと良いでしょう。また、社員の採用だけではなく、既存の社員の離職を防ぎ定着化を目指す目標を定めるのも有効です。

その他には研修や新人教育のセミナーなどの企画・開催目標、キャリアコンサルタント資格などの資格取得目標も良いでしょう。

<具体例>
・毎月10日に新入社員向けのビジネスマナー講座を行い、受講率95%以上を目指す。
・1ヵ月に1冊はマネジメント関連の書籍を読み、新人教育の研修を2つ考案する。
・管理職と部下の個別面談を2ヵ月に1回行い、離職率を前年比3%減少させる。

4. エンジニア職の目標設定の例

エンジニア職の目標設定は、定量的な目標設定が難しい傾向にあります。そのため、スキルアップや資格取得に関する定性的な目標設定がおすすめです。

また、UIやUXに関する目標も企業の成長に結びつくため、利用率や閲覧数などの目標を定めるのも効果的です。クライアントとやり取りをするポジションの場合には、ヒアリングスキルを身につけるための目標なども良いでしょう。

<具体例>
・PMと毎週月曜日にMTGを行い、今週の課題タスクを5つ設定し進捗も確認する。
・年末までに〇〇の実装を行い1月にリリース、5月までにアプリユーザー数500名を目指す。
・翌年6月にJavaプログラミング能力認定試験1級を受験し合格する。

5. 管理職の目標設定の例

管理職はチームとしての目標と、部下の育成目標の2つを定めると良いでしょう。具体的には、残業時間などの人件費やチーム全体の売上額などの数字目標といった、経営成績にも影響する目標設定がおすすめです。

育成の目標に関しては、何人を基準となるラインまで育て上げるか、方法なども含めて定めておくと効果的です。

なお、目標の達成にこだわり過ぎて、部下にプレッシャーをかけるのはNGです。あくまでも目標は自主性を育てることが第一なので、部下を委縮させてモチベーションを下げないように注意しましょう。

<具体例>
・部下との営業の同行訪問を月5件行い、チーム内での契約額を1,000万円にする。
・部署内で残業時間の多い社員の業務をチェックし、月15時間以内に削減する
・業務のマニュアルを作成し、教育に掛かる時間を一人当たり2時間削減、効率化により商品製作コストを30%軽減する。

人材育成は部署や役職、個人ごとに最適な目標設定を行うことが大事!

以上、人材育成における目標設定の重要性、設定の手順や注意点、部署や役職ごとの設定の具体例も紹介しました。

人それぞれ役職や仕事も異なるのはもちろん、性格や考え方も違うので、部署や役職、個人ごとに最適な目標設定が必要になります。

ぜひ、本記事を参考に企業として目標や個人としての目標を定め、理想的な人材の育成を目指しましょう!

  • rss
  • はてなブックマーク

Withコロナ、テレワークにも強いQasee資料も無料体験も、ぜひお試しください

自社の現状の困りごと、お聞かせください

03-6897-5930
10-:00-19:00 土日祝日除く