マネジメント能力とは?どのようなスキルや力が必要なのか解説
部下を育てる立場の上司や管理職には、マネジメント能力が必要とされます。しかし、マネジメントと言っても「どのような能力が必要なのか分からない!」と思う方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では
・マネジメント能力とはどんなものか?
・マネジメント能力を細分化するとどのようなものがあるのか?
・マネジメント能力を向上させるためにはどうするか?
という点を中心に解説します。
上司やマネージャーに問われる資質「マネジメント能力」とは?
それでは、まずマネジメント能力の意味について解説します。類似した言葉として「リーダーシップ」がありますので、混同しないように両方それぞれの意味を説明していきます。2つの言葉は下記の様な意味があります。
<マネジメント能力>
マネジメント能力というのは「管理能力」のことです。ビジネスにおいて使用される場合には、経営や組織に関しての「管理能力」を指しているケースが多いです。そして、管理の対象は人によって変わります。部下を持つ上司であれば「部下」がマネジメントの対象です。
しかし、経営者やより立場が上のマネージャーであれば、組織運営に必要な「お金」「事業」「環境」「組織全体」など、様々なものがマネジメント対象になります。
<リーダーシップ>
マネジメントと混同しやすいリーダーシップは、主に「部下やチームメンバーに方向性を示し導く力」を指します。そのため、リーダーシップは人に対する指導力や統率力のみで、マネジメントは「資金」「施設」「環境」などの人以外も対象になる点が違います。
マネジメント、そしてリーダーシップも組織力向上には欠かせない要素です。ぜひ、これらの意味を理解した上で、人材育成に取り組みましょう。
マネジメント能力は細分化するとどのような能力がある?
マネジメント能力は、細分化すると様々な能力があります。そこで、どのような能力があるのかを順番に解説していきます。マネジメント能力には細かく言うと、主に下記の8つの能力で構成されます。
能力1 分析力、状況把握力
マネジメントでは、部下やチーム、そして組織などに関して、現状でどのような課題や問題があるか考えられる分析力が重要です。そして、日々変わる現場やプロジェクトの進捗などを認識する状況把握力、正しい方向性や目標を設定するための論理的思考力も必要になります。
人材育成という点でも、部下やメンバーの心理状態を分析し把握することは、より質の高いアドバイスやサポートに繋がります。そのため、事業経営やチームやメンバーのマネジメントにおいては、こうした現状を分析・状況把握できる能力が必須なのです。
能力2 目標設定力
マネジメントで必要な能力として、正しい目標を設定する能力も不可欠です。人が迷いなく動くためには目標が必要です。チームとしての目標や個人としての目標を立てておく必要があります。
何より、部下へのマネジメントという点では、現状の課題や改善点、部下の将来的に歩んでいきたいキャリアも把握した上で、目標を定めることが重要です。そのためには、上司の目標設定力やマネジメント能力がなければなりません。
能力3 進捗管理能力
プロジェクトや部下の目標までの進捗状況を管理できる能力も大切です。事業においては様々なトラブルや課題が発生します。また、部下の目標への取り組み方や進み具合も日々変化します。
そのため、上司はプロジェクトや部下の目標への進捗状況を把握・管理し、遅れなどがあれば予定変更やサポートを行う必要があります。特に多数の部下や仕事を抱える上司にとっては、それぞれのメンバーやプロジェクトの進捗を正しく管理し、適切な指示を出すことが重要です。こうした面でも進捗管理はマネジメントにおいて不可欠なのです。
能力4 業務遂行力(テクニカルスキル)
管理職やマネジメントを行う立場に人にとっては、特定の業務を遂行するために必要な専門知識や技術(テクニカルスキル)も必要です。この能力は職種や業種で変わってくる部分はありますが、例を出すと部下の人事評価を行うスキルや、チームマネジメントスキルなどがあります。
また、昨今における企業のDX化の流れを考えれば、IT関連の知識やスキルも、マネージャーや管理職にとっては必要でしょう。こうした職種や役職を問わず必要とされる能力も、マネジメントでは大切です。
能力5 意思決定力
あらゆるプロジェクトやマネジメントでは、時に組織の今後を左右する重要な決断もしなければなりません。そんな時には、状況を把握し正しい決断ができる意思決定力も必要です。意思決定力が弱く優柔不断だと、部下やチームのメンバーも進むべき方向性を見失い、生産性や効率も低下します。
マネジメントを行う上司やマネージャーは、あらゆる意見や知識を基に、正しい決断をすることでチームや部下に方向性を示す必要があります。
能力6 リーダーシップ
リーダーシップもマネジメントにおいて必要な能力となります。なぜなら、部下やチームのマネジメントを行う上で、強いリーダーシップや周りからの厚い人望が不可欠となるからです。周りからの信頼やリーダーシップがないと上司は慕われないため、適切なマネジメントを行おうとしても、聞き入れてくれないでしょう。
ただし、一方的な指示や態度はリーダーシップとは言えません。様々な考えや提案を聞いた上で、意見をまとめられるリーダーシップが必要です。
能力7 コーチングスキル
部下やチームの力を最大限に引き出すためには、コーチングスキルも必要です。マネジメントで言えば、部下やメンバーの人材育成や指導において、コーチングのスキルがないと成長は難しいでしょう。コーチングは日頃から部下やメンバーとの対話を行い、成長目標や課題解決のための方法を考え指導を行います。
その際、部下が自主性を持って、課題解決や成長の方法を考えることが重要です。上司はあくまでサポートする立場で、面談やMTGを行いましょう。
能力8 アセスメントスキル
チーム単位でプロジェクトやマネジメントを進め成果を出すには、アセスメントスキルもなければなりません。アセスメントスキルとは、メンバーや部下を正しく評価することができるスキルです。マネジメントでは部下の性格や適正、長所となる部分を見つけ評価し、どのように育成すれば良いか把握するため、アセスメントスキルが必要なのです。
こちらもコーチングと同じく、日々チーム内の部下やメンバーの活動を観察を行ったり、もしくはMTGや面談などで、様々な質問をしたりするのが良いでしょう。
マネジメント能力向上に役立つ方法とは?
それでは、最後にマネジメント能力向上に役立つ方法についても紹介します。能力の向上には下記の様な方法がありますので、ぜひ実践してみて下さい。
方法1 高い視座を持つ
マネジメント能力を向上させるために有効な方法として、「高い視座を持つ」という点が挙げられます。上司やマネージャーの仕事は、チームとしての目標や課題を達成することですが、その目標や課題は会社にとって本当に有益かを考える必要があります。つまり、「経営者に近い視点」での考え方が重要なのです。
そのため、今の自分の役職や立場より高い視座を持って、プロジェクトの達成すべき目標や課題について考えると良いでしょう。学び方としてはマーケティングや経営戦略を学べるスクールや、外部の研修機関などを活用する方法がありますので、試してみて下さい。
方法2 3つの視点を意識する
次に、「ディズニーストラテジー」と呼ばれる3つの能力から、マネジメント能力を高める方法をご紹介します。「ディズニーストラテジー」は下記の3つの視点のことを指します。
1.ドリーマー(夢想家)
→長期的に達成したい夢や、わくわくするような未来を想像していきます。できる、できないということは一旦置いて、とにかく空想します。
2.リアリスト(現実家)
→考えた目標やビジョンを達成するために、何が必要か詳細を考え計画します。期間やどのような方法で行うか具体的な戦略を立てます。
3.クリティック(批評家)
→建設的な批判を行うことで、問題点や課題を抽出します。ただ批判するわけではなく、非現実的でないかをチェックします。
マネジメントにおいては、プロジェクトや目標を想像する力、達成までの具体的な道筋を立てる力、計画や目標に無理がないかチェックする力が必要です。そのため、上記3つの視点を意識すれば、マネジメント能力も高められるのです。
方法3 ロジカルシンキング
物事を論理的に考え理解する「ロジカルシンキング」もマネジメント能力を高める手段として有効です。様々なビジネスやプロジェクトにおいて、結論や根拠を論理的に、分かりやすく伝える力は重要です。
マネジメントでも同様に、部下やメンバーに分かりやすく、また、納得できるアドバイスやサポートをする上で必要となります。
マネジメント能力は必要なスキルや能力を正しく知ることが重要!
以上、マネジメント能力の意味や必要なスキル、そしてマネジメント能力を高める方法についても紹介しました。様々な能力が必要とされるマネジメントですが、重要なのは「正しい」能力を知り、必要なスキルを身につける方法です。
独りよがりな指導や指示は、マネジメントとは言えませんので、ぜひ、本記事を参考に正しいマネジメントの知識を習得し、実践してみて下さい!