【保存版】工数計算の正しいやり方とは?計算式、精度を上げるコツ、便利ツールを徹底解説
「プロジェクトの納期が迫っているのに、作業が予定通りに終わらない……」
「上司から見積もりを求められたが、根拠のある数字が答えられない……」
プロジェクト管理において、誰もが一度はぶつかる壁が「工数計算」です。
工数計算は、単なる「作業時間の足し算」ではありません。精度高く工数を算出できるかどうかは、プロジェクトの成否、ひいてはチームの信頼に直結します。
この記事では、工数計算の基本定義から、現場で使える具体的な計算ステップ、さらに「なぜ見積もりはズレるのか?」という原因と対策まで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。
この記事を読み終える頃には、自信を持って精度の高いプロジェクト計画が立てられるようになっているはずです。
〜目次〜
1. 工数計算とは?基本の定義と重要性
まず、工数計算の基礎知識を整理しておきましょう。
工数の定義
工数とは、ある作業を完了させるために必要な「作業の延べ量」を数値化したものです。
一般的に「人数 × 時間(期間)」で表され、単なる作業時間の合計ではなく、プロジェクトに必要な人件費の算出や、リソースの適切な配分、現実的なスケジュール管理を行うための基礎となる非常に重要な概念です。
工期との違い
工数を理解する上で重要なのは、「工期(作業の開始から終了までの期間)」との違いです。
工数(こうすう):
┗ 作業を行う**延べ人数(作業量)**を表します。(例:10人日、5人月)
工期(こうき):
┗ 作業が始まってから終わるまでの期間を表します。(例:5日間)
例えば、工数「10人日」の作業を2人で担当する場合、工期は5日となります。工数は、「人日(にんにち)」や「人月(にんげつ)」といった単位で表現されます。
なぜ工数計算が重要なのか?
正確な工数計算には、主に3つのメリットがあります。
- 正確なコスト算出:工数がわかれば、人件費をベースにした適正な見積金額(予算)を算出できます。
- 適切なリソース配分:メンバー一人ひとりの負荷を可視化し、無理のないアサインが可能になります。
- 現実的なスケジュール管理:根拠のある納期設定ができ、プロジェクトの炎上を防ぐことができます。
2. 工数計算の基本単位:人日(にんにち)と人月(にんげつ)
工数計算で最も一般的に使われる単位が「人日」と「人月」です。
1. 人日(にんにち / Man-day)
1人が1日(標準8時間)作業した場合の作業量です。
- ・計算例: 3人が4日間作業する場合
- ・3(人)×4(日)=12(人日)
2. 人月(にんげつ / Man-month)
1人が1ヶ月作業した場合の作業量です。通常、1ヶ月の稼働日数は「20日間」として計算することが多いです。
- ・計算例: 100人日のプロジェクトを人月に換算する場合(1ヶ月=20日の場合)
- ・100÷20=5(人月)
| 単位 | 読み方 | 意味 |
| 人時 | にんじ | 1人が1時間作業した量 |
| 人日 | にんにち | 1人が1日(8h)作業した量 |
| 人月 | にんげつ | 1人が1ヶ月(20日)作業した量 |
3. 【実践】工数計算の5ステップ
根拠のある工数を算出するために、以下の5つのステップで進めましょう。
ステップ1:タスクの洗い出し(WBSの作成)
まずは、プロジェクトに必要なすべての作業を細かく分解します。これをWBS(Work Breakdown Structure)と呼びます。
- ・ポイント: 「開発」という大きな塊ではなく、「ログイン画面のデザイン」「DB設計」「APIの実装」といったレベルまで、1日単位で測定できるサイズまで分解しましょう。
- ・注意点: 打ち合わせやメール対応、レビューの修正対応といった「付随作業」を漏らさないことが、精度向上の第一歩です。
ステップ2:各タスクの「標準時間」を見積もる
分解したタスクごとに、「平均的なスキルを持つ人が作業した場合、どれくらいかかるか」を考えます。
- ・ヒント: 過去の類似プロジェクトのデータがあれば、それを参考にします。「以前この規模の画面を作ったときは、3人日だった」という実績値が最も信頼できる根拠になります。
ステップ3:担当者のスキル・習熟度を加味する
タスクに割り当てるメンバーのスキルによって、実際の工数は変動します。
- ・ベテラン: 標準時間の 0.8倍
- ・新人: 標準時間の 1.5倍〜2.0倍
このように、「スキル係数」を掛け合わせることで、より現実的な数字に近づきます。
ステップ4:バッファ(予備工数)を設定する
プロジェクトには必ずと言っていいほど想定外のトラブル(体調不良、仕様変更、技術的課題など)が発生します。
- ・目安: 全体の工数の 10%〜20% 程度を「リスクバッファ」として追加するのが一般的です。
- ・アドバイス: バッファを含めた納期を顧客や上司に提示することで、心理的なゆとりを持ってプロジェクトを進められます。
ステップ5:全体の工数を合算し、検証する
最後に、すべてのタスクの工数とバッファを合計します。
算出された合計値を見て、「この納期に対して、この人数で本当に実現可能か?」を鳥の目でチェックしましょう。もし無理がある場合は、機能の削減(スコープ調整)やメンバーの増員を検討するタイミングです。
4. 精度の高い見積もり手法2選
「どうしても見積もりが甘くなってしまう」という場合は、以下の2つの手法を状況に合わせて使い分けましょう。
1. 類推見積もり(トップダウン見積もり)
過去に行った類似のプロジェクトの実績を参考にする方法です。
- ・特徴: プロジェクトの初期段階で、詳細が固まっていない時でも素早く概算を出せます。
- ・精度を高めるコツ: 「今回は前回より少し複雑だから、工数を1.2倍にしよう」といった調整を行います。ただし、過去データとの類似性が低いと精度が落ちる点に注意が必要です。
2. 係数見積もり(パラメトリック見積もり)
特定の「変数」と「単価」を掛け合わせて機械的に算出する方法です。
- ・特徴: 「プログラムの行数」や「画面の数」など、定量的なデータがある場合に非常に有効です。
- ・計算例: * 画面作成工数 = 画面数(10画面) $\times$ 1画面あたりの工数(2人日) = 20人日
- ・メリット: 誰が計算しても同じ結果になりやすく、客観的な説明がしやすいのが特徴です。
5. なぜ工数計算はズレるのか?よくある失敗と対策
「一生懸命計算したのに、結局予定通りに終わらない……」というケースは少なくありません。工数計算がズレる主な原因と、その対策を整理しましょう。
失敗1:理想的な状態で計算している(稼働率の無視)
多くの管理者が陥るのが、「メンバーが1日8時間フルに作業に集中できる」という前提で計算してしまうミスです。
- ・原因: 会議、メール・チャット対応、報告書の作成、急な電話対応などの「非稼働時間」を考慮していない。
- ・対策: 実際の稼働時間を「1日5〜6時間」程度として計算するか、ステップ4で紹介したように全体の20%程度のバッファをあらかじめ確保しましょう。
失敗2:要件定義が曖昧なまま計算している
作業内容が不透明な状態で出した見積もりは、高確率で外れます。
- ・原因: 「だいたいこれくらいだろう」という感覚で進め、後から追加の要望や技術的な課題が発覚する。
- ・対策: 不確定要素が多い初期段階では、あえて幅を持たせた見積もり(例:10〜15人日)を出すか、「調査工程」だけを先に切り出して見積もる手法が有効です。
失敗3:マルチタスクによる効率低下を無視している
一人のメンバーが複数のプロジェクトを兼務している場合、単純な足し算では計算できません。
- ・原因: AプロジェクトからBプロジェクトへ思考を切り替える際の「スイッチングコスト」を無視している。
- ・対策: 兼務している場合は、作業効率が20〜30%低下すると想定して工数を厚めに見積もるか、可能な限り集中できる時間をブロックする調整が必要です。
6. 工数管理・計算を効率化する便利ツール
工数計算やその後の進捗管理をアナログで行うのは限界があります。目的に合わせたツール選びが、管理工数そのものを削減する鍵となります。
1. Excel / Google スプレッドシート
最も一般的で、導入コストがかからない方法です。
- ・メリット: 自由に計算式を組める、使い慣れている人が多い。
- ・デメリット: 複数人での同時編集による先祖返りや、ファイルの属人化(マクロの複雑化)が起きやすい。
- ・活用シーン: 小規模なプロジェクトや、初期段階の概算見積もり。
2. プロジェクト管理ツール(Backlog, Jira, Asana など)
タスク管理と工数管理が一体となったツールです。
- ・メリット: WBSの作成、担当者のアサイン、進捗状況の可視化がワンストップで可能。
- ・ポイント: 実績工数を入力する機能があるツールを選ぶと、次回のプロジェクトの見積もり精度を上げるための「実績データ」が自動的に蓄積されます。
- ・活用シーン: チーム開発や、中〜大規模プロジェクトの運用。
3. 工数入力・時間計測ツール(Toggl Track, Clockify など)
「実際にどの作業に何時間使ったか」を正確に測るためのツールです。
- ・メリット: ワンクリックで計測開始でき、メンバーの負担が少ない。
- ・重要性: 「見積もり」と「実績」の差分を正確に知ることが、工数計算スキルを上達させる唯一の道です。
4. Qasee(カーシー)
PCの操作ログなどから実績工数を自動で収集・分析し、工数計算の「根拠」をデータ化するツールです。
- ・メリット:
・メンバーの工数入力の手間を大幅に削減できる。
・データに基づいた客観的な工数実績を把握でき、見積もりと実績の「ズレ」の要因分析に役立つ。 - ・デメリット: 導入に際して、メンバーに対してツールの目的と利用範囲を明確に説明し、理解を得る必要がある。
- ・活用シーン: チーム全体の工数管理の属人化を防ぎたい場合や、実績データに基づいた見積もり精度向上のための分析を強化したい場合。
7. 工数計算に関するよくある質問(FAQ)
実務でよく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。
Q1. 1人月(にんげつ)は何日で計算するのが一般的ですか?
A. 一般的には「20日間」、または「21日間」で計算されることが多いです。 自社の年間休日数や土日祝日の日数によって変動するため、自社のカレンダーに基づいた基準を設けておくことが重要です。
Q2. メンバー間のスキル差はどう数値化すればいいですか?
A. 過去のパフォーマンスを元に「スキル係数」を設定しましょう。 標準を「1.0」とした場合、ベテランは「0.8」、新人は「1.5〜2.0」程度が目安です。ただし、単なる時間だけでなく、レビュー工数(ベテランがチェックする時間)も忘れずに追加しましょう。
Q3. 計算した工数が予算や納期をオーバーしてしまったら?
A. 根拠を持って、以下のいずれかの交渉を行いましょう。
- ・スコープ(機能)を削る:優先度の低いタスクを後回しにする。
- ・リソース(人数)を増やす:人を追加して工期を短縮する。
- ・納期を延ばす:無理のないスケジュールに再調整する。
Q4. 工数計算のテンプレートはありますか?
A. ExcelやGoogleスプレッドシートで「WBS テンプレート」と検索すると多くの雛形が見つかります。 項目として「タスク名」「予定工数」「実績工数」「差異」の4つを含めるように作成すると、振り返りがしやすくなります。
8. まとめ:正確な工数計算がチームの信頼を作る
工数計算は、単なる数字のパズルではありません。それは「チームメンバーが無理なく働ける環境」と「顧客との信頼関係」を守るための非常に重要な業務です。
最初は見積もりがズレても構いません。重要なのは以下の3点です。
- 1. タスクを細かく分解(WBS)すること
- 2. 適切なバッファを設けること
- 3. 実績を振り返り、次回の計算に活かすこと
このプロセスを繰り返すことで、あなたの見積もり精度は劇的に向上し、プロジェクトの成功率は確実に高まります。
9. 自動工数管理ツール「Qasee」とは?
工数管理において、最大のネックとなるのは「計測の手間」と「データの正確性」です。日報形式の自己申告では、従業員の負担となり、データに曖昧さや偏りが生じてしまいます。Qaseeは、この課題を根本から解決するために設計された、自動で業務データを取得・分析する工数管理システムです。
導入検討のサポートとして、無料トライアルも実施しております。こちらから資料請求が可能です。
5-1. 手間ゼロ」の自動データ取得
Qaseeの最大の特徴は、従業員が手動で日報や工数入力を行う必要がない点です。
- ・PC作業を自動で記録: 業務に使用するPCに専用クライアントをインストールするだけで、どのアプリケーションを、どの時間帯に、どれだけ利用したかのデータが自動的に記録されます。
- ・AIによる工数の自動仕分け: マネージャーが設定したルール(アプリケーション名やキーワードなど)に基づき、取得した業務データを特定の「プロジェクト」や「業務」に自動的に紐付け(仕分け)します。これにより、従業員は最初に設定を行うだけで、その後の工数入力をほぼ自動化できます。
- ・カレンダー連携による可視化: PCを利用していない時間も可視化できるため、会議や電話対応といったアナログ業務もスケジュールと紐付けて正確に把握できます。
5-2. データ活用で実現する経営層への戦略レポート
自動取得されたデータは、単なる工数記録で終わらず、経営層が意思決定を行うための戦略的な指標へと変換されます。
- ・正確な業務コストの把握: プロジェクトやタスク単位での正確な人件費コストがデータに基づき算出され、予想コストまで把握できるようになります。これにより、赤字案件の早期特定や、適切なクライアントへの追加請求が可能になります。
- ・AI業務診断機能: チームや個人の働き方の「健全度」を週次・月次で自動採点し、通常の働き方と異なる傾向(例:特定の作業に時間をかけすぎている)をチェック項目として抽出。アナログな非効率業務の特定や、システム化の種を見つけることに役立ちます。
- ・組織リスクの低減: 日々の業務状況がタイムラインとしてログに残るため、情報セキュリティや労務に関する問題が発生した場合も、過去の業務データを遡り、原因を特定するためのリスクアセスメント機能としても活用できます。
5-3. 「働き方」を改善する機能
Qaseeは効率化だけでなく、従業員自身の働き方改善もサポートします。
- ・自動勤怠打刻: 業務状況から勤務開始・終了時間を自動生成できるため、打刻忘れの懸念がなくなり、労務管理の負担が軽減されます。
- ・セルフマネジメント機能: メンバー自身が自分の働き方の状況(集中時間、ムダな作業時間など)を確認し、効率的な働き方を自ら促すための仕組みが提供されます。
公式ホームページでもQaseeの機能を確認してみてください。




