1on1ミーティングの進め方や全体の流れ、理想的なサイクルを解説

1on1ミーティングの進め方や全体の流れ、理想的なサイクルを解説

1on1ミーティングは「部下の成長・スキルアップ」を目的に、社内全体の活性化を目指すためのミーティングです。これから1on1ミーティングの導入を進めているという企業も多いでしょう。しかし、具体的な流れや進め方がわからず困っているという方もいるはずです。

そこでこの記事では、1on1ミーティングをより効果的にするための進め方や全体の流れ、ミーティングを回すサイクル、必要なスキルについて詳しくご紹介します。

1on1ミーティングの進め方・全体の流れ

1on1ミーティングを実施するには、まずミーティングの進め方と全体の流れを把握しておくことが必要です。最初にミーティングの進め方・全体の流れを4つのステップに分けて詳しくご紹介します。

ステップ1:目的の共有

1on1ミーティング実施前の最初のステップとして、1on1を実施する目的を上司・部下の両者で共有しておく必要があります。1on1は部下が自分でテーマを決め、悩みや現状を上司と話すことで、部下の能力を引き出し、今後の成長につなげることが主な目的です。

あくまでも部下が主体となって自発的に発言などを行うものなので、上司がメインで話す通常のミーティングとは異なります。このポイントを明確にしておかないと、ただの雑談で終わってしまうこともあり、1on1実施の効果を得られないでしょう。

そのため、1on1の効果を最大限に発揮するためにも、上司・部下の両者で目的を共有し、今後の成長やスキルアップへとつなげる意識が大切です。

ステップ2:ミーティングの設定

次にミーティングの日時やテーマを設定していきます。ミーティングの日時は上司だけの都合で決めず、上司・部下の両方が都合のいい日時を設定しましょう。

上司だけの都合で日時を決めてしまうと、部下の仕事が溜まっている時期に1on1の準備自体がストレスに感じてしまう場合や、事前準備ができずミーティングを無駄にしてしまう場合もあります。日時設定の際、上司は部下の仕事の進捗状況などを把握しておきましょう。

一方、部下側は自分だけではなく上司の仕事量に配慮し、無理のない範囲で複数の日時を候補にあげるなど、円滑に日時を設定する意識が大切です。

また、当日限られた時間の中で実施するミーティングを有意義なものにするために、「テーマ」を事前に決めておくとスムーズにミーティングを進められます。さらに自分がいま抱えている悩みや不安を洗い出すことにもつなげられるでしょう。

ステップ3:ミーティングの実施

続いて、事前に決めたテーマに沿って、部下を中心に進めていきましょう。上司は、部下の話を先読みして解決策を先に提案してしまう場合があるため注意が必要です。

1on1では部下が自ら発言し解決策を見つけることが重要なので、部下が自分の悩みや考えを自主的に打ち明けられるように「なぜそう思うのか」「そのためには今後どう行動していきたいか」など、テーマを深堀しながら話に耳を傾けましょう。

最終的にミーティングを通して、提示したテーマの解決策や今後へのモチベーションアップにつながれば1on1は成功に近付きます。

ステップ4:次回ミーティングの設定

ミーティングの終わりには、次回のミーティングを設定しましょう。次回のミーティングを設定することで、1on1を通じて話した内容や解決策を意識して行動しやすくなります。

また、次回のミーティングでは、前回の内容をもとに解決に向けてどのような行動ができたかを具体的に振り返ることが重要です。

ミーティングを繰り返して、問題解決や短期目標の達成を積み重ねることで、部下が自信をつけるきっかけとなり、モチベーションアップにもつながるでしょう。

1on1ミーティングを回すサイクル

1on1ミーティングを回すサイクルは、大きく6つに分けられます。どのステップも非常に重要で欠かせないものなので、より有意義な1on1ミーティングを実施するために6つのサイクルを1つずつ理解していきましょう。

信頼関係の形成

職場で仕事を円滑に進めるために重要なことは信頼関係です。信頼関係はラポール形成とも呼ばれ、この1on1ミーティングはラポール形成につながると言われています。

1on1ミーティングを通じて部下の本音を聞くことで「この上司はきちんと自分のことを見てくれている」「アドバイスをもらえて心強い」と思ってもらえるため、上司と部下の信頼関係を構築可能です。

ラポール形成ができていない場合、悩みを相談できずに仕事の生産性が下がるだけではなく、離職につながることも考えられます。職場の空気を良くするためにも、上司と部下が深いレベルの信頼関係を構築することが重要です。

目的やゴールの共有(方向づけ)

1on1において、目的やテーマ、ゴールの共有(方向づけ)は非常に大切です。

「今日はどんなテーマで話をするか」
「今回話したテーマのゴールはどこにするか」

などの具体的な方向性を上司・部下で共有するとピンポイントで問題点を話し合えるとともに、改善に向けて具体的にどう行動していくかが見えてくるので、部下も行動しやすくなるでしょう。

また、ミーティングごとに目的やテーマ、ゴールを共有することで次回ミーティングまでに「この目標を達成しよう」「ここを意識して行動しよう」といった意識が生まれます。

現状の理解

1on1を通じて成長・スキルアップをするために、上司は部下の現状を把握しておく必要があります。なぜなら、現状を把握することで部下がいま何に悩んでいるのか、どのような状況なのかを理解でき、問題へのアプローチや目標設定がしやすくなるからです。

また、このとき部下が抱えている仕事量なども把握しておくと無理のない目標設定ができるでしょう。部下の現状を聞き出す際は部下が自主的に発言できるよう、相槌を打ちながら話を遮らずに傾聴することが必要です。もしも話に行き詰ってしまった際は、相手が話しやすいように質問を投げかけると良いでしょう。

問題の発見

1on1を実施するにあたって、テーマに基づいた会話の中から問題点を発見していくことが大切です。部下が決めたテーマに沿って会話を進めながら、そもそもなぜこのテーマを選んだのか?問題点はどこにあるのか?などの解決できる点を洗い出していきます。

この時ポイントなのは、部下自身が自ら考えて答えを導き出すことです。上司がすぐに解決策を与えてしまっては成長につながらず、1on1の意味がありません。上司はあくまでも問題点を発見するための手助けとして質問を投げかけるようにするのが重要です。

課題の設定と計画

ミーティングで導き出された問題点の中から課題を設定し、その課題をどうクリアしていくか、具体的な計画を立てていきます。この課題設定と計画は上司が答えを教えるのではなく、部下が自分自身で答えを導き出せるような質問を織り交ぜながら誘導していくのがポイントです。

また、課題設定や計画は最終的なゴールに向けて、短期・中期・長期的に決めていくとより行動しやすくなります。

ただし、初めから大きな目標を立ててしまうと、達成できずに落ち込んでしまう場合もあるため、最初は達成しやすい課題のクリアを目指していくと良いでしょう。

クロージング

一連の流れを終えたら、1on1ミーティングの最後にクロージングを行います。クロージングは、ミーティング内で話し合った問題点や課題クリアのための計画について改めて復習、確認していくステップです。

次回ミーティングの日時設定もここで行っておきましょう。今回話した内容を確認することで、改めてミーティングの内容を振り返り上司と部下双方で認識のすり合わせや決定事項を共有できます。

また、次回のミーティングまでに何をするのか決めることで、責任をもって行動に移しやすくなるなどの効果を期待できます。

1on1ミーティングに必要な具体的なスキル

1on1ミーティングを通じて部下の成長・スキルアップを目指すためには、質問する上司側にもスキルが必要です。次は1on1を実施する上で、質問者側である上司に必要な4つのスキルについて詳しく解説していきます。

傾聴

傾聴とは、カウンセリングなどで用いられるコミュニケーション方法のひとつで、相手の考えや発言を否定せずに深く耳を傾け、相手をきちんと理解することです。

傾聴は相手の話を耳で聞き、表情を目で見て、心理を心で理解しようとするため「共感」が非常に重要で、結果としてラポール形成にもつながります。具体的には、1on1ミーティングで上司が部下の悩みや話を遮らずに相槌などを打ちながら聞くのがポイントです。

上司が自分の話を理解、共感してくれていると感じることで信頼関係が生まれ、モチベーションアップや日常的なコミュニケーションの円滑化につながるでしょう。

オープンクエスチョン

オープンクエスチョンとは、開かれた質問という意味をもつ用語で、「はい」「いいえ」などの単純な選択肢ではなく、自由に答えられる質問を指します。たとえば1on1の場合、

「今後どうなっていきたいですか」
「この目標を達成するためにどのように行動しますか」
「現在悩んでいることは何ですか」

など、回答者が自ら考えて自由に回答できるものです。オープンクエスチョンを1on1に取り入れることで、部下が自ら考えて発言をするきっかけとなります。

また、自分で考えて答えることにより責任感が生まれるので、ただ答えるだけではなく目標達成のために行動するという意識付けが可能です。

パワフルクエスチョン

パワフルクエスチョンは、オープンクエスチョンの中でも相手に深い気付きを与え、心境の変化に直接つながるような質問のことです。1on1ミーティングでは以下のような具体例があります。

「今の悩みを作り出している一番の原因はなんだと思いますか」
「この目標を達成するためには1ヶ月、半年、1年単位でどんな結果を出せば良いと思いますか」

上記のように、具体的に答えられるような質問をすることで、回答者が今まで見えていなかった気付きやモチベーションアップの効果があります。

パワフルクエスチョンは、タイミングや適切な質問内容を見極める上司側のスキルが必要です。あらかじめ提出されたテーマをもとに、質問内容を事前に考えておくことをおすすめします。

バックトラッキング

バックトラッキングとは、会話の中で相手が言った言葉を繰り返して話すスキルで、いわゆる「オウム返し」のことです。1on1ミーティングでの具体例としては、「〇〇ができてうれしかったです」といった発言に対して、「〇〇ができてよかったね」など相手の発言を繰り返しながら返します。

このバックトラッキングをすることによって、相手からこの人は自分の話をきちんと聞いてくれていると感じられる効果や、自分のことを肯定してくれていると感じるため、結果として信頼や自己肯定感を高める効果を期待できます。

まとめ

1on1ミーティングの進め方や全体の流れ、理想的なサイクルを解説してきました。1on1はのサイクルは6つのステップで構成されており、このサイクルを繰り返すことで部下の自主性が育ち、社内の人材の成長やスキルアップにつながっていきます。

1on1ミーティングを有意義なものにするには、質問者側のスキルも求められるため、上司と部下両者が目的やテーマ、課題を共有し、一緒にゴールを目指すことが大切です。

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