1on1で話すことがない時の対処法と話題例

1on1で話すことがない時の対処法と話題例

1on1を継続して進めていく中で、「話題が尽きてしまった」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。また、上司の立場で1on1を実施している場合には、部下から「話すことがない」と言われてしまうこともあるでしょう。

そんな時に確認したい、話題が尽きてしまう原因とその対処法についてご紹介します。また、さまざまな観点からみた1on1の話題例や、話を広げていくために重要な注意点もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

1on1で話すことがないと言われてしまう原因

1on1を実施する中で、部下から話すことがないと言われてしまうのは、一体何が原因なのでしょうか。その原因は1つだけではなく、部下との関係性や部下の性格など、人によってさまざまな原因が考えられます。

信頼関係の構築ができていない

1on1で、部下に話すことがないと言われてしまう原因として、部下との信頼関係が十分に構築できていないという点があります。

例えば家族や友達であれば、自分の胸の内をさらけ出して話すことができますが、あまり親しくない間柄であれば、誰しもすべてをさらけ出すことを躊躇するはずです。「こんな風に言ったら上司はどう思うだろう」や「上司が反対の意見だったらどうしよう」などと考えてしまい、部下は自らの意見を発言しにくくなってしまいます。

このように、信頼関係が十分に構築できていないと、話すテーマが限られてきてしまうのです。

1on1の目的がわかっていない

部下が1on1の目的をわかっていない場合にも、話すことがないと言われてしまうことがありす。そもそも1on1は、上司と部下がお互いを知ることで、同じ目標に向かって歩みを合わせる目的もあります。

最近職場で起こった出来事など、ほんの些細なエピソードでも、上司にとっては部下を理解するための鍵となります。しかし、1on1を行う目的をわかっていないと、部下の中では「何かミーティングの議題が必要だ」という考えに至ってしまいます。

そしてその結果、議題が思いつかず「話すことがない」という返答になってしまうのです。

緊張して何を話していいかわからない

すべての人が、自分の思いを真っすぐに上司へ伝えられるわけではありません。緊張しやすい人であれば、特に伝えたいことはないのに、あえて上司と2人きりで話したいとは思わないでしょう。

また、話したいことはあっても、いざとなると緊張して、何を話そうとしていたのかわからなくなってしまう人もいます。

さらに、控えめな人や入社間もない人は、上司に気を遣うあまり、「話すことがない」と遠慮してしまいがちです。「自分の悩みはそれほど大したことではない」や「私なんかが何かを言える立場ではない」など、部下なりにいろいろと考えているのです。

話すことがないと言われた時の対処法

部下から話すことがないと言われてしまうのには、さまざまな原因がありますが、そんな時はどのように対処すれば良いのでしょうか。

話すことがないと言われる原因がわかったら、現状を打開するために、ぜひ次の対処法を実践してみてください。

まずは信頼関係の構築

1on1で話すことがないと言われないためには、まず十分な信頼関係を構築していくことが必要不可欠です。部下の信頼を得ることで、「この人になら話してみようかな」と思ってもらえ、より深い話へ進めることができます。

また、上司が自分の生い立ちや失敗談を話す自己開示を行うことで、部下に親近感をもってもらえ、話しやすい雰囲気作りにもなります。信頼関係の構築が不十分な場合には、最初は雑談からでもいいので、とにかく少しでもお互いを知ることが大切です。

さらに普段から、「この間のあの件どうだった?」などといった、部下への声かけをさりげなく行っておくと、より話しやすい雰囲気を作りやすくなるでしょう。

傾聴を意識する

なんでも話せる雰囲気作りには、上司の傾聴スキルも重要で、これによってどこまで深い話ができるかも変わります。誰しも、「ついつい話し過ぎてしまった」という経験があるように、聞く相手の態度によって、話す側が伝える情報量も変わります。

相手の話をしっかり聞き受け止めることで、話しやすい上司だと認識してもらえ、部下も悩みを打ち明けやすくなるでしょう。

ただ、これは1度行っただけですぐに効果が出るものではないので、普段から意識して行う必要があります。最初はあまり効果を感じないかもしませんが、繰り返し行うことで、きっと効果を感じられるようになります。

1on1の目的と意義を共有する

1on1を行う目的は、より良い人間関係を構築することで、業務の効率や成果を最大限に発揮させることにあります。この目的を理解できていないと、1on1を通常のミーティングのように捉えてしまい、内容も堅苦しいものになってしまいます。

一見業務には関係のないような他愛もない話でも、お互いの人間性を理解するには大切で、そのような雰囲気こそが1on1には必要不可欠です。

このことを部下としっかり共有し、それを部下が自分の中に落とし込むことができれば、気を張らずに1on1へ参加できるようになるでしょう。

アジェンダ例を用意する

「話すことがない」という部下に対しては、上司側で事前にアジェンダ例を用意しておくという対処法もあります。アジェンダとは、話の議題やテーマのことで、これが決まっているとどのような話をするべきなのか、部下にとってもわかりやすくなります。

1on1のアジェンダ例としては、プライベートに関することから、心身に関すること、業務に関することまでさまざまです。例えば趣味や好みといったプライベートな話題は、お互いの共通点を見つけやすく、相手の性格がわかることで距離も縮めやすくなります。

また、身体の健康状態やモチベーションといった心身に関するアジェンダ例では、表面上ではわかりにくい部下の内面を知ることができます。他にも業務に関する改善点や、どのような目標を立てていくのかといったアジェンダ例も、1on1に適しています。

さらに現在のことだけでなく、部下自身が描いている今後のキャリアプランに焦点をあてたアジェンダ例も、人材の育成には大変役立ちます。

過去の1on1を振り返る

過去にも何度か1on1を行っている場合には、一度以前に話した内容を確認し、振り返ってみると良いでしょう。そうすることで、以前に話した内容の進捗を確認でき、その後どのように乗り越えたかといった話も詳しく聞くことができます。

また、過去にプライベートな話を話している場合には、その後の状況や新たな問題が発生していないかなど、現状を確認する機会にもなります。

特に問題なく終わった出来事は、あえて話題にすることが少ないからこそ、過去に行った1on1を振り返ることにより、振り返りのきっかけを作ることができます。

1on1実施の前提

部下ヘの対処法がわかったら、上司自身も今一度、1on1を実施する前提について確認しておきましょう。この1on1実施の前提を、常に念頭に置いておくことで、どんな時も適切な対処ができるようになります。

上司が話す場ではない

1on1は、あくまでも部下の話を聞くための場で、上司が話すための場ではないことを、しっかり覚えておきましょう。どんな話題も、上司がすぐに結論を出すのではなく、部下自身が考えて結果を導き出せるようにサポートする必要があります。

例えば、「そうするためにはどうしたらいいかな?」「なぜ上手くいかなかったんだろう?」といった問い方で、部下の意見を引き出します。このような、YESやNOでは答えられない問い方を意識すると、自然と部下が発言する回数を増やすことができます。

上司が中心になって話を進めてしまうと、部下が自分で考えて発言する機会が減り、1on1本来の目的も達成できなくなってしまいます。

部下を深く理解し、成長を支援するため

1on1は、部下とさまざまな話題について話をすることで、部下のことをより深く理解し、その人に合った支援をできるようにするためのものです。どのように支援をすれば、最も早く成長できるのかは、部下の性格や能力の特徴によっても異なります。

この最も効率的な支援方法を、いち早く理解するためにも、1on1はとても重要なのです。

また、時には部下の悩みや不満にも耳を傾け、より安定した環境で働き続けられるよう、寄り添い支援する必要もあります。1on1のすべては部下の成長のためにあり、部下が成長することで、会社の成長にも繋がっていくのです。

1on1で話す内容

1on1で話す内容は、業務に関係することだけでなく、趣味や好みなど、どんな話題を用いても構いません。しかし、逆になんでも良いと言われると悩んでしまうという場合には、ぜひ次の内容を参考にしてみてください。

心身の健康状態

部下の心身の健康状態を知ることは、業務の割り振りを考える際にも役立つため、一緒に働く上ではぜひ知っておきたい項目です。そのような話題について話しておくことで、表面上の様子や健康診断ではわからない、内面のコンディションを知ることができます。

それをふまえて日常の声かけを行ったり、個々のコンディションにも配慮した、業務の割り振りを行ったりします。また1on1で、部下としっかり向き合って話をしておくことで、部下のちょっとした異変にも気づきやすくなります。心身の健康状態を知るために最適な質問内容としては、「最近よく眠れているか」や「体調に異変はないか」などがあります。

他にも、「業務の量が多過ぎないか」「家に仕事を持ち帰っていないか」などからも、部下のストレスの度合いを計ることができます。

雑談

入社したての社員や、配属されたばかりでまだお互いのことについて何も知らない者同士にとっては、雑談も大切な信頼関係構築の入り口となります。

また、いきなり深い内容について話をしても、信頼関係を築けていなければ、なかなか本心を話せないでしょう。まずは出身地や好きな食べ物など、当たり障りのない話題から始め、相手が心を開いてくれるようになったら、少しづつ話題を広げていきます。

時には自分の生い立ちや失敗談なども交えるなど、上司側から自己開示をすると、部下も心を開きやすくなります。上司が、あえてそのようなフランクな話題について話すことで、どんなことでも話せる、和やかな場を作ることができます。

業務の課題感

上司と部下の間で、ある程度の信頼関係が構築されたら、業務の課題感についても確認しておきましょう。部下が業務に対して、どのような課題感を持っているのかを知ることで、外側から見るだけでは気づけなかった課題に気づけるかもしれません。

業務の課題感について質問する場合には、個人的な要望や、上司へのリクエストが無いかどうか聞いてみると良いでしょう。

また具体的に、今どのような業務に携わっていて、そのチーム内ではどのような課題があるのか、人間関係のトラブルはないかなども質問として最適です。小さな問題こそ、相談できずに我慢し続けてしまうこともあるので、1on1ではそのような小さな課題も表面化させる必要があります。

戦略や方針の共有

ここまで、1on1では部下が中心となって話を進め、上司が話し過ぎてはいけないと説明してきました。しかし、この戦略や方針の共有というテーマでは、例外的に上司が部下へ話すことが主となります。

とはいえ、ここでも通常の評価面談とは立場が逆転し、上司が部下へ報告、連絡、相談をするという形式で行います。例えば、上司が部下へ会議の決定事項を報告したり、なぜそのように決定したのかといったプロセスを連絡したりします。

他にも、今後どのようにしていったら良いかなどを相談したり、上司から部下へメッセージを伝えたりするのも良いでしょう。このように、一見した発言の主体が上司でも、実際にはこれまで同様、1on1の主体は部下なのです。

1on1で話す時の注意点

1on1で、1つの話題からどれだけ多くの話しに繋げていけるのかは、上司の傾聴スキルにも左右されます。ぜひ次の点に注意して、部下が自然と話を広げていけるような、和やかな雰囲気を作っていきましょう。

上司が話しすぎない

1on1では、いつもの評価面談のように、上司ばかりが話し過ぎることのないように注意しましょう。1on1の流れは、まず始めに部下の話を聞き、それに基づいて部下の教育方針を決定したり、改善案を考えたりします。

そこで、上司が部下の話を聞かずに自分のことばかりを話してしまうと、せっかくの貴重な時間から何も得られずに終わってしまいます。部下から何も有益な話を聞けなければ、今後の教育方針や改善案を考えることもできません。

とはいえ、無意識に自分中心になって話してしまうという人は、まず「部下の話をさえぎらない」ということに注意してみると良いでしょう。

必要以上の緊張感を与えない

必要以上の緊張感は、部下を萎縮させてしまい、話したいことも話せなくなってしまう原因となります。1on1の目的の1つは、普段なかなか話す機会のない話題について、胸の内をさらけ出してもらうことです。

このため、話すのに少し勇気がいるような話題でも、リラックスした気持ちで話せるような雰囲気作りが大切です。

例えば、2人きりの閉鎖的な空間だと緊張してしまうという場合には、テラス席などで行ってみるのも良いでしょう。時にはコーヒーとお茶菓子を用意して、よりリラックスできる空間を演出することも効果的です。

相手の話を否定しない

1on1で上司に求められるスキルの1つに、相手の話を否定しないということがあります。自分より経験の浅い部下の意見に、「それは違うのではないか」と言ってしまいたくなることもあるでしょう。

しかし1on1は、部下が自分で考え行動し、試行錯誤を重ねることで、成長していくことを目標としています。例え最初に出した答えが間違っていたとしても、部下と一緒に考え、解決していくことに意味があります。

また部下は、自分の出した答えを否定され続けると自信を無くし、「自分の答えではなく上司の望む答えを出せばいい」という思考に陥ってしまいます。

質問攻めにしない

1on1では、部下の意見を引き出そうとするあまり、質問攻めのような状態になってしまわないよう注意しましょう。適度な質問を交えて、部下の発言を促すことも大切ですが、質問攻めのような状態になってしまうと、相手も心を開くどころか疲弊してしまいます。

また、仕事での失敗について話をする場合に、その失敗の理由や原因を問い詰めすぎると、その威圧感から部下はさらに追い詰められます。

このように、部下の話を聞き出すために質問をするのはとても良い方法ですが、適度な頻度と距離感を保たなければ、逆効果となってしまうのです。

プライベートな内容は適切にとり扱う

雑談に近い形で1on1を行う場合には、プライベートな内容について話をすることもあるでしょう。プライベートな内容で、お互いに踏み込んだ話をすることは、信頼関係を構築するために有効だと言われています。

ただ、プライベートな話題はデリケートな内容を含むことが多いので、適切にとり扱うことが大切です。部下の様子を注意深く観察しながら話を進め、少しでも不快感を感じているようであれば、話題を変えるようにしましょう。

また、内容によっては世代間で認識が別れるところにもなるので、どんなこともこうあるべきだと決めつけず、広い視野を持つ必要があります。

部下にもアジェンダを用意してもらう

1on1の効果をより高めるためには、部下がどれだけ意欲的に1on1に取り組んでいるかも重要です。部下から能動的に話してもらうためには、部下自身に話したい内容のアジェンダを用意してもらうのも効果的です。

業務に関するアジェンダ例

部下に用意してもらうアジェンダ例の1つに、今関わっているプロジェクトや業務に関することについてがあります。例えば、今仕事で抱えている悩みの相談や、業務に関する提案をしてみるのも良いでしょう。

また、仕事のモチベーションとしていることを共有することで、モチベーションを保って仕事ができるよう配慮できます。他にも、日頃仕事をする上で意識していることや、仕事への姿勢をアピールをしてもらえれば、部下の人間性が把握できます。

さらに普段、上司の見えないところで自分が頑張ってきたことを、アピールする場として活用してもらっても良いでしょう。

一方で、より働きやすい環境で仕事をするために、配慮して欲しい家庭の事情を相談することも、れっきとした業務に関するアジェンダになります。

目標ややりたいことに関するアジェンダ例

部下が心の中で思っていることを、外側から読み取ることはできないので、目標ややりたいことなどを言葉にして伝えてもらうのも有効です。

例えばこのアジェンダ例としては、「これから会社の中でどのような存在になっていきたいのか」「どのような業務を担当していきたいのか」などがあります。これらを知っておくことで、部下が描いている将来のキャリアプランに合わせた、仕事の割り振りができます。

また業務に関することだけでなく、取得したいと思っている資格や、将来のライフプランを共有することも大切です。そうすることによって、今後の業務配分を考えたり、先を見据えた人員配置ができたりするなど、上司にとっても部下にとっても有益な情報共有となります。

まとめ

1on1で、部下から話すことがないと言われてしまう原因は、実施する目的が理解できていなかったり、信頼関係の構築が不十分だったりと、人によってさまざまです。

また、1on1で話題を広げていくためには上司の傾聴スキルも重要で、これによって同じ話題でも、話の広がり方が大きく異なってきます。

さらに1on1では、どんな話題を取り上げても良いので、何より部下の発言を引き出す姿勢を心がけるようにしましょう。

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